【写真】一汁一菜 オーナー 成田樹紀氏
ホーチミン市4区にキッチンを構える、ランチ限定の宅配専門弁当「一汁一菜」。
デリバリー範囲は2区、7区を含むホーチミン市の広域に渡る。
「単なるお弁当屋さんでなく、健康づくりのエージェントでありたい」というコンセプトの基、健康バランスを考え抜かれたメニューが毎日市内のオフィスやご家庭に届けられている。
ベトナム語、中国語、英語共に堪能で、「大事なのは直接相手の言語で対応する事」と言う成田氏に、単なるお弁当にとどまらない「熱い思い」をお聞きした。
■成田樹紀氏プロフィール
愛知県名古屋市出身。
国際基督教大学(ICU)教養学部卒。
大学卒業後、東京都内で4年間米国系企業の会社員として働く。
美食家として名高い作家、投資家の邱永漢氏(故人)にスカウトされた事をきっかけとして、海外在住、飲食経営の世界へ。
10代は欧州・中東、20代は中国、30代はインド、東南アジアを回り、ジャンクフードから一流レストランまで食べ尽くした経験を活かしてフードビジネス中心に活動中。
【お店のコンセプトは?】
日本人は健康に対する問題意識は高いですが、どういう食事が健康につながるのかわからなかったりして、日々の食生活に危機感を持ちながらもなんとなく生活されている方も多いのではと感じていました。
ましてや慣れない外国での生活、そして何より皆さんお忙しいですので、全て自分で調べて実践するのも大変です。
ならば私がお客様の健康管理の一端を担うことはできないか?
そう考えた事が、健康づくりのエージェント(代理人)という発想の契機でした。
提案(コンサルティング)するだけでなく、実際にそれを実現出来るようオペレーションまでを担当するのが私エージェントとしての仕事です。
一汁一菜は、健康的なランチが宅配で便利に届く事で、継続的な健康維持を可能にする「良き習慣を身に着けていただく」というソリューションを掲げております。
【お店の概要をお聞かせください】
まず軸となるメニューは「日替わりランチ」で、これらは毎日メニューを変えてお出ししております。
また新メニューとして「汁なし担々麺」「冷やしぶっかけかき揚げうどん」と、デリバリーでは難しいと言われる麺類もメニューに加えました。
こういった麺類も、ランチで食べたくなる気持ちが痛いほどわかりますので、試行錯誤して開発しました。
また、スパイスからスクラッチで作る当店オリジナルカレーも、毎日レギュラーで注文できます。
注文方法は全てLINEにて日本語でメッセージを送っていただければ完了です。
客層は現状では日本人のお客様がメインです。
7割がビジネスパーソンで、3割がそのご家族の方です。
また、当店のスタッフはバイトも含めて総勢で15名、デリバリーにはバイク(自社便)を使用。
現在6台のバイクで稼働しています。
宅配エリアに関してはおおよそ40分以内で行ける範囲で設定しています。
【出店の経緯は?】
ランチの選択肢が少ないベトナムにおいて、毎日何食べるのか困っている方が多いのが現状です。
また衛生的な問題もあり、健康的な心配もついて回ります。
そういった方々に対して、なにかお手伝いできる事はないか、考えた事が契機でした。
朝食、夕食は人それぞれ事情があり、優先すべきことがあります。
朝は時間が無く、夜は会食に忙しくと、色々と自分の都合通りにいかない方がたくさんいらっしゃいます。
ランチはそういう意味では「1日に1回不足がちな栄養素を補給する食事」と決めてしまえば習慣を作りやすいですので、そこに着目しました。
【ベトナム開業に際して苦労した事は?】
ベトナム開業に関しては、基本的には仲介業者さん等に頼らずほとんど自分でやりました。
どこの国でもそうだと思いますが、その国の言語で現地の方とコミュニケーションが取れるというのは、事業を進めるにおいてアドバンテージだと思います。
またお客様をはじめ、関係者の皆様にも助けられながらここまで来ることが出来ましたので、特に苦労と感じるようなことは無かったです。
【不動産について】
デリバリー業ですので立地は最大限に重視しましたが、お客様を招くわけではないので、建物へのこだわりは特に無かったです。
それらの理由から現在の4区の物件を選んだのですが、家賃もリーズナブルで正解でした。
【設備について】
厨房機器の発注等に関しても、特に業者さんを通すわけではなく、自分で直接手配しました。
機器に関しては、その使用目的に応じて合理性を重視して選定しています。
厨房設計に関しても自分でやりましたので、プロから見ればありえない失敗も多々ありしました。
またカスタマイズや修理が必要な場合も、DIY的な感じで自分でやってしまいますね。
例えばタンドリーチキンを焼く為にタンドリー窯を自作しようと思いつき、ドラム缶に型を入れてモルタルを流し込んで作った事もありました。
【食材について】
自分で直接市場に買い付けに行ったり、信用おける業者さんに配送してもらったりしています。
税金が高い輸入品にはなるべく頼らないのも私のポリシーです。
例えばカレーをスパイスから作っている理由も、日本のカレールーなどは品質も高く美味しいですが、こちらで購入すると日本で買う値段の倍します。
それであれば、人件費が安いベトナムでのメリットを活かし、スパイスの実を砕くところから自分たちでやろう思いつきました。
また中国語が話せるので、例えば香港とのパイプが強い5区のオイスターソースで有名な華僑の問屋さんには、ホーチミン市では通常手に入らない品質の高い中華系調味料を取り寄せてもらったりしています。
2年かけて信用してもらったので、今ではそういう無理も聞いてもらえます。
【衛生管理方法について】
手洗いの徹底、毛髪キャップを付けるなど、とにかく細かい事を徹底させています。
衛生面に関しては、ここまでやっておけば大丈夫ということは無いので、
どんな細かい事でも、とにかく徹底させる事を心がけています。
【人材について】
現在はバイト含め、総勢15名のスタッフで回しています。
全員ベトナム語しか話せませんので、コミュニケーションは全てベトナム語になります。
例えばデリバリードライバーが道に迷ったら私に直接電話がかかってきて、それに対してベトナム語で指示して問題解決させています。
それが出来るのも、オープン当初は自分でバイクに乗って宅配までしていたからで、それがあって今ではホーチミン市の道にはかなり詳しくなりました。
自分で全てを対応するのはかなりのハードワークですが、そうする事によって人件費を節約し、それを商品、サービスに還元する事が出来ます。
これはとても大事な事だと思っております。
また調理に関しては、スタッフにはアシスタント的な働きをさせ、常に私が品質の最終責任を負っております。
採用に関しては特に基準を設けていませんが、家庭で長く料理を作ってきた主婦は優先して採用しています。
食や素材への最低限の知識、倫理観を重視しています。
【主な販促方法は?】
チラシを作成し、直接企業様のオフィスに出向いて手渡しで配るなど、地道な事をやっています。
また「インスタグラムにアップしていただいた方にお弁当1つ無料」や、「定価で1セットオーダーいただくと、そこで一緒に働く現地採用やインターンの方の分は半額」というようなサービスも展開しています。
このように一般的なやり方とは異なる販促を行うのが好きです。
【今後の経営計画について】
流行の糖質制限ですが、見よう見まねでやるには非常に危険です。
ただ、きちんとした経験と知識に基づいたうえで行えば、健康とアンチエイジングにおいて大きなメリットがあると感じています。
これは自分自身が2年続けて体感しております。
私はそこに着目し、今後は「おいしく楽しく続けられる糖質制限」を真剣に考えた、付加価値がより高いサービスを提供するため、日々研究しております。
運動する事なく、食事だけで体質を抜本的に変える効果が期待出来る、というプログラムです。
美味しくて、品質の高い素材を使い、さらに体質を変える効果が期待出来るというものですので、ランチとしてはかなり高めの価格設定になります。
こちらは日本人に限らず、どの国の方でもご利用しやすいように、日本人をとりわけ意識しないメニューになる予定です。
また、最近はじめましたが、ベトナムMMなど、フードデリバリーアプリを使った業態も始めました。
「2代目 つる田」と言います。
英語表記では「RAMEN & UDON TSURUTA」です。
これは、日本人の方だけでなく非日本人の方にも日本の味を楽しんでいただければと思い始めました。
【これからベトナムに進出される方に向けてメッセージを】
ベトナムにおける日系飲食店は飽和状態だと言われておりますが、やり方次第ではまだまだチャンスがあるマーケットだと思っています。
私の場合、とにかくお客様の健康づくりの一端を担いたいという気持ちがありまして、今の出店に至ります。
なんとなくやってたまたま当たるという事は日に日に難しくなる中で、逆に計画がしっかりしている人には有利になってきていると感じています。
★筆者が実際に頼んでみました★
注文はホームページからLINEで友達追加し、「初めてオーダーします」と送ってから数分で返答が来ました。
その後、注文したい商品と届け先住所を入れて完了。
何度もやり取りするような事も無くスムーズにオーダー出来ました。
午前9時にオーダー完了して、オフィスに届いたのは午前11時過ぎ頃。
今回注文した商品は「日替わりランチ」
初回オーダーということでお試し価格の50,000vndでした。
本日の日替わりメニューは
・細切れチャーシュー入り野菜炒め
・和風ポトフ
・ご飯(梅干し入り)
の3品
スープは象印製の容器に入っていて、冷めないように工夫がされていました。
この和風ポトフですが、とにかく野菜の品数が多い!
野菜だけでもお腹がいっぱいになる程でした。
しかも比較的薄めな味付けで、確かにこれなら毎日続けていれば良い健康状態を保てそうなメニューでした。
細切れチャーシュー入り野菜炒めの方はスープに比べると比較的しっかりした味付けでした。
こちらも野菜がたっぷりと入っており、この2品だけでも結構な量があり、ご飯も合わせると一般男性にとっても量的に充分ではないかと思います。
なお容器等のゴミ類、象印製の保温器は全て夕方前ぐらいに回収の方が来ました。
オーダーから回収まで、消費者にとって特に面倒なやり取りも無く、これなら毎日でも続けられるような印象でした。
■店舗情報
店名:一汁一菜
住所: Đoàn Văn Bơ, Phường 9, Quận 4, Thành Phố Hồ Chí Minh
宅配時間:
・平日オフィス向けランチ:当日10時までにオーダー締切 12時までに宅配
・平日ご自宅向けランチ:当日10時までにオーダー締切 11時半〜12時半に宅配
定休日:日曜日
URL:http://1-ju.com/
LINE登録:https://line.me/R/ti/p/%40rxe1863f
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/07/08)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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