写真 株式会社「ちよだ鮨」海外事業部 ベトナムチームリーダー 佐久間 淳(さくま あつし)氏
都内では200店舗以上ものテイクアウト・立ち食い・回転寿司などの店舗を経営するだけでなく、蕎麦やお弁当などの事業も行う株式会社「ちよだ鮨」の海外事業部がロータスグループとの合弁で2016年にホーチミン1区のパスツール通りに、寿司をはじめとした日本料理店「ちよだ鮨」を開店。日本を紹介するベトナム雑誌「キララ」を中心に開催した日越の友好イベント”Feel Japan 2018”ではマグロ解体ショーを行うなど日本の食文化を広め、日本だけで無くベトナムでもすしの大衆化を目指す。
写真 「ちよだ鮨」が志す理念(店内メニューに記載)
どういった契機でベトナムに——————————–
台湾やニューヨークへの出店の経験を基に海外へ展開することになったところ、各国を市場調査するなかで市場成熟に見込みがあり、且つ宗教による問題も心配が無いベトナムに注目しました。
出店に踏み込む時に様々な日系企業と事業をされているロータスグループ様とのご縁で合弁し、出店することができました。
食材の産地の割合は——————————–
当店のコンセプトは日本を味わって頂くことなので日本最大規模の築地に代わる豊洲市場からマグロやハマチなどを定期的に仕入れております。江戸前の新鮮なお寿司を提供するため、当社バイヤーの鋭い目利きで新鮮で上質な食材を選び、輸入しているというのが我々の強みです。
写真 魚介類の産地の紹介(店内メニューに記載)
さらにベトナム産の食材も仕入れており、我々が現地まで赴いて品質の確認をしております。
ダラットのローカルのサプライヤーさんとご縁がありまして、多くの日本の品種の野菜類を栽培してもらうなど日本の品種の現地供給もございます。
写真 ダラットのローカル農家社長の方(左)と株式会社ちよだ鮨 代表取締役社長 中島正人(なかじままさと)氏 (右)
豊洲で仕入れをされる際の発注から届くまでのお時間は———————————–
ある朝に捕れて競り落とされた魚は、その日の夜の便で輸送されて次の日の朝にホーチミンに届き、通関を切ります。
ベトナム人従業員にはどういった教育をされていますか——————————-
ベトナム人寿司職人に関しては日本の当社寿司学校にて、寿司・刺身の調理技術はもとより、日本の衛生についても教育の機会を与えています。
またベトナムの店舗では日本人料理長による“寿司勉強会”を定期的に行っています。
サービススタッフについては、日本のサービスを提供できるよう日本人マネージャーの指導の下、日々教育を行っています。理想の目標としましては、お客様に『エムオーイ(店員を呼ぶ時に言う)』と呼ばせなくてもいいように気を配り、日本を上回るおもてなしができるよう心掛けています。
日本との違いを感じられた点は——————————
物件や工事ですね。100年前の建物というのもあり、雨漏りには悩まされました。工事関係は配管が図面と違ったり空調がつかないなど滅茶苦茶でした。電気がつかないだけでなく、消えなくなったりと日本だと起こりえないことも起きてしまうので苦労しました。
また、物件では我々が借りている建物の一部が民家になっており、工事の際はトラブルに見舞われましてオープンが半年ほど遅れました。
インテリアや家具などは輸入されましたか————————————
日本でお世話になっている先生に考えていただいだものを現地の業者に作って頂きました。
多目的家具などはローカル技師にとって前例が無く、仕組みや用途をわかってもらえないこともありました。
人気のメニューは何ですか————————————–
《限定豊洲直送スペシャル》(写真上部)です。こちらはお刺身になりますが、寿司の限定豊洲にぎりスペシャルも好評で、客層分け隔て無くご注文頂きます。
しかし、ベトナムの方々に一番人気のネタはサーモンで、ハマチなどと比べると約10倍の注文を頂きます。
マグロにもあまり認知のない中”Feel Japan 2018”でマグロ解体ショーを行い、たくさんのベトナムの方々にマグロを召し上がって頂きましたが、マグロへの反応はよかったのでこれから近い将来マグロの時代が来るのではと思っております。
ベトナム人のお客様に向けて取り組まれたことは———————————
我々は日本の食文化を届けるといった目的ですが、少々現地の方々に合わせ調整をしています。
例えば、当店では日本からの牛肉も扱っているのですが、ベトナム人の方は薬味や調味料で味を変えて食事を楽しむといった風習が見受けられますので、お肉に浸けるソースは味を変えられるように数種類お出しします。
他にも、日本ではあまり出ないロール寿司などは、やはりベトナム人だけでなく欧米人も大好きなのでメニューに揃えております。
写真 日光高原牛や和鶏の紹介(店内メニューに記載)
すしの大衆化に向けた課題や取り組みなどはありますか—————————
課題は値段を下げることですね。現時点の客層は 越:日:欧=7:2:1 で、圧倒的にベトナム人のお客様が多いですが、もっと増やせると確信しております。
まだまだ価格面からハレの日の食事といった認識のようなので、より気軽に足を運んで頂けるようなお店を目指したいです。
また、当店には日本酒・焼酎なども多く揃えており、日本人のお客様には接待や会食でよく利用して頂きます。
さらに、ベトナム国内でのチェーン店化に踏み込むつもりで、ハノイ、ダナンも可能性がありますが、まずはホーチミン市内で多店舗化をし、今年中に2号店の出店を検討しております。日本で得意としているテイクアウトのお店も出店したいと思っておりますので、ベトナム人スタッフに任せられるよう教育をしていきたいです。
これからベトナムに進出される方に向けてメッセージを————————————–
ベトナムには日本が大好きな方がたくさんいらっしゃいますし、この先可能性を十分に秘めた国だと思っておりますので、日本食や文化を広めて頂ける方がいらっしゃるなら我々もうれしいです。
■店舗データ
「ちよだ鮨」
Ad : 178 Pasteur Street, Ben Nghe Ward, Dist.1, Ho Chi Minh
Tel : 028-3822-5822
Open : 平日11:00~23:00(L.O 22:30)/土日10:30~23:00(L.O 22:30)
URL : https://chiyodasushi.vn/jp/
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/05/29)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
関連キーワード
シェア ありがとう ございます!
おすすめ記事
FooBiz SNS
アクセスランキング:2週間
【PR】今日の夜、ふらりと一人呑みしませんか?>>