2000年に福岡で開業した博多ラーメンの専門店ブランド「暖暮」
日本では25店舗を展開。海外も、オーストラリア、カナダ、アメリカに展開している。
ベトナムでは、2015年9月にレタントン、2018年8月にタオディエンの2店舗を展開。
直営とフランチャイズで展開をしている同ブランドであり、ベトナムの2店舗を展開するのは、福岡1店舗、鹿児島3店舗の運営もする有限会社アトラスだ。
今回は、有限会社アトラス代表取締役でベトナム事業をマネジメントする小倉氏と、現地駐在の責任者である柚木氏に、ホーチミン在住の日本人なら誰でも知る人気ラーメンブランドがどのようにその地位を得たか秘密を探る。
ベトナムに出店した経緯を教えてください————
小倉社長)
海外出店を考えたきっかけは、鹿児島で4店舗を展開していたのですが、1店舗を閉店させてしまって。少し目先を変えることを検討しているときに、知り合いからベトナムでの出店の話を聞きました。2014年秋頃にベトナムへ視察にきまして、物件を4つほどみて今の物件を即決しましたね、人も決まっていませんでしたが(笑)ラーメン文化がないベトナムで事業をはじめることに、とても魅力を感じました。
物件選定から出店まではイメージ通りでしたか————
小倉社長)
日本人に福岡の博多ラーメンを食べてもらいたい」と考えましたので、物件はベトナムのローカルエリアではなく、日本人が多いレタントンを選びました。大家さんは友好的な方で、他で聞くような無謀な「賃上げ」もなく今も良好な関係を築けています。
工事は3、4ヶ月で完了する予定が6ヶ月ほどかかりましたね。理由はいくつかありますが、工事が予定よりも時間がかかったこと、冷蔵庫や餃子焼き機を日本から輸入するのに時間がかかったことがありました。出店の遅れには、イメージ通りの麺を作るのに時間がかかった、というのもありましたね。
麺は、最初日系の会社に依頼しました、何十回と試作を重ねましたがなかなか思うような麺ができず。。。オープン後もブラッシュアップを2、3回しましたがイメージ通りの麺にならず、現在取引がある業者さんに変更しました。現在の業者さんはラーメン屋を展開しているだけあり、イメージ通りの麺を作ることができました、おそらく、ホーチミン界隈のラーメン屋の5割以上は取引してるのではないでしょうか。
スープは、なかなか思い通りの味ができずにオープンして1年後に、お店を1ヶ月休業してスープの調整を行いました。
現在は、ほぼイメージ通りのスープができるようになりましたね。
オープン時の採用と現在————
柚木MGR)
社長から従業員のLINEグループに「外国でお店をやるよ」とメッセージが入り、「海外のどこでやるんですか?」と即返信をしました、中途社員と入社しまして、この会社で成長するには会社の方向性を理解し行動することが大事だと考えていまして、すぐに手をあげ現地マネージャーとして赴任することになりました。
小倉社長)
人材は、アイコニックさん(人材紹介)を利用し、まず日本語ができる2名の採用しました。1名は、ずばぬけて日本語がうまく即決し、もう1名は日本レストラン界隈でMGやLDを行なっている人材で多少面識があったのと、面白そう、という直感もあって採用しました。
それ以外のスタッフは、共同経営者の紹介や採用が決まったスタッフの紹介(FBなど活用)ですね。採用基準は、キッチンスタッフはとにかく頑丈な男の子、ホールは英語もしくは日本語ができること、でした。アルバイトの時給は25,000vndスタートですね。
柚木MGR)
現状の人員構成は日本人2名、社員1名、その他はアルバイトスタッフで運営しています。レタントン店は昼6名・夜7名の体制、新店舗は4名体制で運営しています。
人材教育はどのようにされましたか————
柚木MGR)
教育については、最初に採用した日本語ができるスタッフの活躍が大きかったですね、元々日本人の元で働いた経験があったので、日本人の働き方、仕事の細かさ、厳しさを理解してくれてました、日本語ができないスタッフに、私たちが大事にしてることを伝えてくれた。仕事中には座らない・携帯は利用しない、などの日本では作らないルールも作りましたね。
応募してくるスタッフは、外国の文化に興味があるスタッフが多いので、私たちの考えを受け入れてくれるタイプで、順応しやすい子が多かったですね。それでも日本語の接客はミスが起きる可能性がありましたので、注文時はオーダー用紙を使用しました。
日本人とベトナム人の違い、採用方法・採用課題について教えてください————
柚木MGR)
日本人よりもやる気のあるスタッフが多い印象ですね、ホールの仕事は1ヶ月で慣れ、2ヶ月で仕事を一通り覚えてくれるスタッフもいます。採用は、FBを使ったり有料の媒体(1,000,000vnd)に掲載することもあります。反響はバラバラですね、応募がまったくないこともあります。
ベトナムのどの業種も共通としてありますが、テト開け(2月の旧正月)にやめるスタッフはいますね。また、人材募集は最近は大変になってきました、理由はベトナムのレストランも給与が上がってきたからです、日本のレストランは労働時間が長く、きびしいというイメージがあるようで、同じ給与待遇ならベトナム人のレストランで、と考えるようです。
小倉社長)
ベトナム人は素直で勉強熱心ですよね、人間性がとてもいいなと思います。古きよき日本というか、高度成長期の日本のような、まっすぐさがあります。もちろんベトナム人全員が暖暮の色にあうわけではありませんので、お店のカラーにあうこを採用していきたいです。
仕入れについて教えてください、日本から輸入しているものはありますか?
また仕入先はどのように見つけましたか————
小倉社長)
スープの味の決め手となる「かえし」、暖暮の特徴である「辛味だれ」は、ベトナムで作ることは難しく日本で作りそれを輸入しています。輸入するために、業者を通してライセンス申請(認可まで半年ほどかかりました)してますので、自社で作ったものを業者から購入する形をとっていますので原価は倍近くになります。
柚木MGR)
共同出資者のネットワーク、スタッフのつながり、現地でできた仲間の紹介がメインですね、お肉は日本のサプライヤーから仕入れています、当初日系は高いと思っていましたが、実際金額を比較したらベトナムローカルの価格と、10.000vnd/kしか変わらず驚きました。さらに、衛生管理もしっかりしていて、安心して注文できました。
お客様層・回転率について教えてください————
柚木MGR)
レタントンは、日本人8割、あとは欧米人やベトナム、中国・韓国人ですね。タオディエンは、日本人2割、ベトナム人2割、韓国人・中国人が2.5割、欧米人が2.5割ですね。福岡は1時間で3~4回転します、滞在時間15分程度でしょうか、ベトナムでは1時間で2回転、滞在時間は30分程度ですね。食事としてゆっくり楽しむ、レストランのような使い方をされる方が多いです。九州人はラーメン屋で長いすべきじゃないという美学があるのかもしれません。
日本との違いについて教えてください、味の好みの違いはありますか————
柏木MGR)
味を変えることはしませんでしたが、ベトナム人向けに「あっさり」を作りました。ベトナム人は「普通」か「あっさり」を選ぶ人が多いですね、また烈火ラーメンもよくでます。欧米人は「普通」か「こってり」ですが、欧米人も「烈火ラーメン」が好きですね、日本のお店より烈火ラーメンがよくでます。
替え玉についてですが、九州人は、「替え玉文化」があるので、替え玉がよく出ますが、ホーチミンにくる日本人は「替え玉」文化がない人も多く、替え玉がでずサイドメニューがよくでます。
ベトナムにきてよかった点————
柚木MGR)
来店される方は「日本食レストランに行きたい」「食事を楽しみたい」という強い思いで来店されるお客様が多いので、ラーメンが美味しいときに、ストレートに喜んでいただけます。
帰り側に「ここのラーメン最高だね!」と声をかけてハイタッチされるお客様や、ラーメンが美味しくて、「もう1杯食べたい」と2杯目を注文するお客様もいらっしゃいます。そのような、日本では味わえないお客様のリアクションを体験できるのは、飲食人冥利につきますね。ベトナム人の人間性がともていいですね、純粋なところが好きです。
例えば「お金を稼ぎたい」など、混じりっけがなくストレートな思いがあります、そういう純粋なスタッフと家族のようにやらせてもらってます。
2号店出店の経緯と今後の展開について————
柚木MGR)
2店舗目は「日本人以外の集客できる店舗でやりたい」という思いがありまして、現在の店舗で集客できている韓国人、中国人、台湾人が多く住んでいるエリアの、7区・5区を探しましたが1年以上いい物件に出会えませんでした。、
2区も探しはじめまして今の物件に出会いました。2区の市場調査を何日かしたあとに社長に住所と画像を送信まして、社長がGoogle MAPで周りの店舗数などを確認してくれ、人が集まる場所であることを確認され決定しました。
小倉社長)
店舗展開は考えていまして新たな物件候補もありますが、ラーメンのクオリティは落としたくないので味をきんちと作れる人ができ店の管理はできる人ができたら、考えたいですね。また、ベトナム以外への出店はタイミングとチャンスがあれば考えたいが、現在はベトナムでの展開を考えたいですね。
現在ベトナム人に受け入れられている日本の飲食業態は、浦江亭さんとPizza 4P’sさん、ラーメン業態で、ベトナム人に受け入れてもらえるように、頑張りたいですね。今は中・上流向けになってしまってるが、現在所得があがってきているので将来的に、ラーメンというものがあってとんこつラーメンを知って、食べてもらえたらうれしいです。
ベトナムでビジネスを開業したい人にアドバイスをお願いします————
小倉社長)
コンサルタントや誰かに依頼するの一つの形だとは思いますが、自分の目で見て自分で考えて行動することが大事なのかなと思います。コンセプトをしっかり定め、そこを大事にする、フォーは、一杯10,000vndで販売しているので、そこに勝つには覚悟が必要だと思います。
柚木MGR)
私はとてもよくしてもらってますし、自由にさせてもらっているので、同じようにスタッフのことを考えてくれる会社に出店してほしいですね。また、「ベトナムだから」と思わない方がいいお思います。人件費が安い、食材が安い、というイメージとは実際は少し違います、
例えば、日本人向けにやろうと思うとそれなりの食材、人材が必要になります、日本食材が必要な場合は輸入コストがかかります、よりよい接客をしようと思うと日本語能力高いスタッフの雇用が必要です。レタントン界隈のお店お見ていると、お金儲けをメインで考えると負け、楽しんでるお店が勝ち残っている気がします。
店舗情報
店名:DANBO Ho Chi Minh / Vietnam
住所:8A/7B1 Thai Van Lung, Ben Nghe ward,distict.1, Ho Chi Minh City
電話番号:+84-8382-77018
営業時間:11:00~15:00 / 17:00~翌1:00
[金・土] ~翌1:30
定休日:第1火曜定休
店名:DANBO THAO DIEN/ Vietnam
住所:98 Xuan Thuy Street, Thao Dien Ward, District 2, HoChiMinh City
電話番号:+084-126-4499835
営業時間:11:00~14:30 17:00~21:30
定休日:火曜定休
WEB:http://danbo.jp
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/05/10)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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