飲食店に向けてベトナム初のBtoB仕入れプラットフォームで活躍するKAMEREOの田中氏。設立直後の2019年5月にも取材をし(https://www.foobizvietnam.com/interview-2/)今回が第2弾となる。新たに導入した農家と飲食店を直接繋げる新事業について伺うことができた。
KAMEREO新事業
鈴木
先日はインタビューありがとうございました。1年半経ちましたが、KAMEREOさんの現状を教えてください。
田中氏(以下:田中)
飲食店さんが約200社以上、サプライヤーさんは300社以上に利用していただいています。肉や魚・調味料・輸入品など20,000商品以上を掲載しております。
鈴木
すごいスピードで成長されてますね!
新しく始められた卸についても教えてください。
田中
ベトナムのサプライヤーさんって、特に野菜のサプライヤーさんは法人よりも個人の方が多いです。いわゆる市場のおばちゃんがレストランから注文を取って、マーケットに行って買い物をして、デリバリーまでしています。コストや品質・業務効率の部分で課題があると感じていました。一方、ベトナムの飲食店さんは99%は中小規模の飲食店さんなので、購買力も購買リソースもなく、生産者さんから直接購入することは難しい状況です。生産者さんから飲食店さんの間に中間業者さんが何社も入り、その分コストが上がってしまいます。そこで僕らが飲食店さんから注文を受けて需要を一纏めにして、生産者さんから直接野菜を購入し、デリバリーまで行えば、レストランの仕入れ価格削減にメリットを出せるなとスタートさせました。
鈴木
サプライヤーさんと競合になりますよね。
田中
競合といえば競合なんですが、飲食店さんに直接営業をかける野菜のサプライヤーさんはほぼないんですね。私は以前勤めていたPizza 4P’sで購買担当もしてましたが、だいたい1年間で営業にくる野菜のサプライヤーさんは1社あるかないかでした。Pizza 4P’sの規模でその程度の営業が来るだけだったので、中小規模の飲食店さんに営業をかける野菜の業者さんはほぼないのではと思います。
鈴木
飲食店さんのメリット事例を教えてください。
田中
現在約20ほどの農家さんと直接取引をしています、朝農家から野菜が送られてきて、それを飲食店さんへ配達する、という仕組みです。中間業者さんを通さずに直接仕入れていますので、ベンタン市場などで野菜を買うよりも弊社の方が20〜30%安い価格で提供できています。価格は1ヶ月に1回しか変更しませんので、飲食店さんは仕入れコストを安定させられます。更に、BtoBに特化していますので、飲食店さんのニーズも把握しており、今度より沢山の飲食店さんにメリットを提供する仕組みができると思います。
KAMEREOの取引先
鈴木
どのような農家と取引されてますか。
田中
ダラット及びクチの農家を中心に契約しています、Viet Gapというベトナムの認証制度があるんですが、それを持っている農家や最新の水耕栽培をしている農家が中心です。
鈴木
農家と取り組まれていることを教えてください。
田中
日本の種苗メーカーさんと相談をして、提携農家さんに日本の野菜を育ててもらう取り組みも始めています。野菜によっては、提携農家さんにあらかじめ購買ボリュームを伝えて、僕らの為だけに作ってもらうものもあります。そうすることで、農家さんからの仕入れ価格を乾季と雨季の2種類の価格のみで固定することができるので、飲食店さんへの卸し価格の変動も抑える事ができます。価格メリットの事例では、直近のテト後は一般的に農家さんが働いている所が少ない為、レタス(ベトナム名LoLo Xanh)の市場価格が45,000VND/kgまで上昇したのですが、弊社では農家さんとの取り決めがあるので、25,000VND/kgで提供できました。毎日野菜の値段を調べてますので、僕らくらい値段に詳しい会社はないと思いますよ(笑)
鈴木
大手飲食店、大手サプライヤーへのアプローチはされてますか?
田中
ベトナムの飲食店は、他国に比べても大手チェーン比率が低いのが現状です。なので大手というよりかは、中小規模の飲食店をサポートするイメージです。ベトナムでは、大手チェーンの会社でも倒産する事は珍しくないですし、経営状態があまり良くない会社も多いので、大手チェーン店への営業に会社として力を入れていく考えはありません。大手のサプライヤーさんは前職のPizza 4P’s時代に知り合っていましたので、商談獲得で苦労したことはありませんでしたね。
ベトナム飲食の変化
鈴木
田中さんが来られてから5年、ベトナムの外食の変化を教えてください。
田中
飲食店は増えましたね。大手では、CoCo壱番屋、8番ラーメン、一風堂、和民、ちよだ鮨、リンガーハット、吉野家、すき家・・・出店ラッシュですよね。レタントン通りのヘムの雰囲気も今とはまったく違います。昔はカラオケやマッサージもあまりなかったですからね。日本食のお店も10件もなかったと思います、一人当たりGDPも3,000ドルを超えてきた中で、中長期的には専門店成功の可能性も増していると思います。
鈴木
田中さんから見て、繁盛するお店と撤退するお店の違いはなんですか?
田中
当たり前のことを当たり前にできるかどうか、でしょうか。適正価格、品質というのはもちろん、「いらっしゃいませ」や「ありがとうございます」などの挨拶、ある程度の規模になるまでは経営者がお店に立つことも大事だと思います。奇抜なことは必要ないんですよね。
鈴木
取引額を増やすために検討されてることはありますか?
田中
飲食店向けに始めましたが、小売店への販売も中長期的には力を入れていきたいと考えています。実際、小売店への販売も徐々に増えております。また、直近、新型コロナウィルスの影響で飲食店さんの発注が減ってきている為、BtoCにサービスを拡大予定です。近日中にBtoC向けのアプリをローンチ予定ですので、ご家庭やオフィスからでも弊社の野菜が発注可能になります。
鈴木
今後進出を検討している飲食店さんへメッセージをお願いします。
田中
進出のタイミングとして今年、来年はいいと思います。新型コロナウィルスの影響もあり、残念ながら閉店する飲食店が多く出てくるのではないでしょうか。ボジティブに考えれば、物件は空きますし、家賃相場も下がる可能性がありますよね。また昔に比べて、飲食店さんをサポートするシステムは沢山あります。サプライヤーさんも僕らみたいな新しいプレイヤーが増えてきています。勝負できるマーケットもありますし、ベトナムはとても面白いと思いますよ。
あとがき
消費者としても、生産者の顔が見える食材は安心・安全に繋がるもの。そんな顧客を持つ飲食店へシステムの利便性を提供し、更に第一次産業との間に入ることで、より良い価格や質を追求している。まさに『Win-Win』の関係性。会社を設立して1年半だが、KAMEREOの成長と、新たなビジネスへの飛躍に今後も目が話せない。
shop information
屋号 | KAMEREO LLP |
---|---|
電話番号 | +84 83 9443 000 |
住所 | 18/40 Nguyễn Cửu Vân, Quận Bình Thạnh, TP.HCM |
ホームページ | https://www.kamereo.vn/ |
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2020/03/31)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
関連キーワード
シェア ありがとう ございます!
おすすめ記事
FooBiz SNS
アクセスランキング:2週間
【PR】今日の夜、ふらりと一人呑みしませんか?>>