ベトナム国内で酒造業を営むHue Foods Companyは1995年に設立、今では日本酒、焼酎など約30種の自社製品を取り揃え、宝酒造の代理店としても展開、北は中国国境から南はカントー省まで販売網を広げてきた。
今回は、ベトナムで創業24周年を迎えたHue Foods Company現地代表兼サイタトレーディング(ベトナム国内販売会社)会長の黒川 邦彦 氏(写真右)、Hue Foods Company製造責任者(杜氏)の関谷 聡 氏(写真左)にお話を伺った。
ベトナム進出の経緯を教えてください—————————
親会社でもあり砕石業を本業とするサイタホールディングス株式会社(福岡県)の才田善彦社長(当時)は、終戦後に景気が良いと言われていた酒造業に魅力を感じ、日本で酒造業を開くのを夢見ていましたが断念した経緯がありました。そんな中、25年前ベトナム政府から砕石場開設の依頼がありベトナムに視察に訪れた際、広大な田園に米がたわわに実っており、さらにフエから南のダナンにかけての地域にはとても酒造に使いやすい水があることも知り、ここだったら良い酒が作れると確信をしたそうです。当時、日本では銀行の貸し渋りや不祥事が横行したバブル崩壊期でしたが、ベトナムではドイモイ政策という市場鎖国の開放もあり、多くの外資企業が注目しました。また、ベトナムには日本のように酒造業の新規参入の規制は無かったほか、原料や人件費等、物価が低いのでベトナムで酒を造って日本で売るというビジネスプランのもと、念願だった酒造業をベトナムで開くことになりました。
写真 日本酒の仕込みタンク
ここまで至るのに大変だったことは——————————–
設立時は親会社の業績悪化もあり資金面でのハードルがありました。
設立後も当時の日本から見たベトナムは戦争での枯葉剤などで印象が悪かったので全く受けいれられず、当時社⻑のあては全く外れてしまいました。日本で売れなければベトナムで販売するしかないということでベトナムに向けて方向転換することになりました。そんな中、私は経理としてこの酒造会社に関わり始めたのですが、当時ベトナムはとても貧しく、飲料製品を購入して飲むといった習慣が全くなかったので、市場をゼロむしろマイナスから開拓するというのが大変でした。当時は日本料理店は殆どありませんでしたし、ベトナム人通訳を入れてローカル企業や代理店と取引を続け、今でも年に2回ほど全国の代理店に挨拶回りをします。北部地方を中国国境まで1週間ほど、中部地方も1週間ほどかけて、それぞれ車で1,000km以上走ります。車での移動は過酷ですが、この毎年の業務は双方共に楽しみでもあります。その結果、信頼関係を構築することができ、今ではベトナムでの大切な財産です。
フエフーズの商品について聞かせてください—————————
約30種類の商品を扱っております。ベトナム産の原料を使用し、酒造のスペシャリストが品質にこだわって吟味した清酒や焼酎を中心にラインナップしてます。飲食店様はもちろん、旅行で来越されるお客様のお土産としても好評を頂いております。
主な商品をご紹介ください———————–
越の一(えつのはじめ)
ベトナムで初めて作った純米の清酒で、日本の皇太子様がベトナムに訪問された際に献上させていただきました。
米はインディカ米を一番デンプンの多い中心部まで精米しており、日本酒に馴染みのないベトナム人でも飲みやすく、軽快な華やかさが特徴的です。日本の酒造好適米で造った清酒とはちがった味わいとなっておりますが、ベトナムの「地酒」として親しんで頂ければと思います。
ちなみに日本の越後地方の清酒で似た名前の商品がございますが、弊社の使用する越という字は越南(ベトナム)からとっておりますので、関連性はありません。
いも一(いもはじめ)
こちらは芋焼酎として最初に製造した商品です。芋は瘦せ地であるほどよい芋が育つといわれていますが、ベトナム中部には東南アジア最長で約130キロのラグーンがあり、芋に良い条件の砂地です。そこで収穫されるサツマイモは日本の黄金千貫(こがねせんがん)に匹敵するデンプン量を含んでいます。食べてもおいしいのですが、その芋で作る本格焼酎はコクのある深い味わいとさっぱりした後味が特徴的です。日本の焼酎にはひけを取らないと自負しておりますので、ベトナムに来られた日本人の方々にも是非飲んで頂きたいですね。
コーヒー焼酎
コーヒー生産量が世界2位を誇るベトナムの豆はロブスタという種類で、コーヒーの中でも群を抜いて風味が強い豆です。それを焼酎の原液に漬けて抽出することで芳ばしい香りと口当たりの良さを兼ね備えており、主にベトナムのお土産として販売をしています。
【新商品】アティソはじめ
アメリカやヨーロッパなどでも食材として使われるアーティチョークはベトナムでは中部高原地方で盛んに栽培されており、健康面で様々な効果があると言われています。ベトナムではエキスをお酒に入れて飲む風習があり、その文化を一本の焼酎にしました。
ローカルの方々はもちろん、こちらもベトナム旅行者のお土産商品として買って頂くようなお酒です。
ベトナムで経営される際に心掛けていることは———————–
意識としては、ここはベトナムですから日本の常識で考えることはしないようにしています。ベトナムをはじめ東南アジアは日本のクオリティや社会性と違った面があり「日本ではこうだ」「日本ではそんなことしない」と考えてしまいがちですし、「日本で売れたからこちらでも売れる」と思ってしまいがちですが決してそうではありません。文化を受け入れて「ここはベトナムだ」と割り切ってしまうと、ベトナムの社会の仕組みが興味深く見えてくるようになりました。
製造の面では、温度管理に気をつけております。焼酎と清酒とでは、醸造に必要な温度が違いますので、タンク別に隔離して室温を維持しています。また、品質を一定にするよう注意もしており、できあがった清酒や焼酎をボトリングする前に、杜氏(製造責任者)の関谷が試飲して質を確かめるといったテイスティングを行っております。
写真 手前が焼酎のタンク 奥が清酒のタンクがある保冷室
ベトナムでの販売活動は————————-
現在21省(政令指定都市を含む)、25店の代理店を使って販売活動を行っております。
その他広告活動もしたいのですが、ベトナムではアルコール度数15%以上の酒類は雑誌やテレビなど人に目につく場所で広告宣伝活動をしてはいけないと定められています。ですので比較的規制が緩いFacebookに載せて紹介しておりますが、後々Facebookも対象となるかもしれません。そのくらいベトナムでは度数の高い酒類の広告活動は規制が厳しいのです。
フエフーズ、今後の展望をお聞かせください—————————
ベトナム人に向けて日本の清酒や焼酎の飲み方の普及等はしていきたいです。
日本人は寒いときにしか焼酎を飲まないなんてことは無く一年を通して色々な方法で飲みますよね。しかし、ベトナム人にとっては気温が下がったときの飲み物といったイメージがあります。なのでベトナムの方々にも色々な清酒や焼酎の飲み方があるのを知って欲しいです。
例えば炭酸を入れた酎ハイなど暑い国向けに気軽に飲めるような商品を開発していきたいです。
また、ベトナム国内だけでなくASEAN諸国に輸出したいと思っております。一度、タイに輸出をした時期がありましたが、日本から輸入する製品と値段が殆ど変わらず、タイ国内の日本人は見知った日本の製品を飲まれますので、ネームバリューでは劣ってしまい苦戦をしました。そこで料理酒を出したところタイではご好評を頂けたこともあり、またチャレンジしたいと思っています。
今後ベトナムに進出される飲食店経営者に向けてメッセージ———————————
当社にご関心を持って頂けるようでしたらお気軽に当社にご連絡ください。
各代理店を通してお取引頂けます。
■会社データ
HUE FOODS COMPANY LIMITED(フエフーズ)
所在地 4/114, Le Ngo Cat, Thuy Xuan Village, Hue City
電話番号 +84-(0)23-4382-1777
URL http://www.huefoods.com
取扱の焼酎は日本でも購入ができます
https://www.rakuten.ne.jp/gold/huefoodsjapan/
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/05/09)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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