ベトナムが熱い!と多くの飲食店が進出している今日。しかし、蓋を開けると数多くある飲食店に埋もれ、なかなか芽が出ないということも稀ではない。そんなベトナムに21年前から進出し、山あり谷ありの中、現在の【肴や】を営む堀山氏に話を伺った。カウンターがお客さんで溢れかえると、1番辛かった時期を忘れられると語る堀内氏にどんなストーリーが隠れているのか。。。。
ベトナムにきた経緯を教えて下さい
もともと海外思考が強く、20歳くらいの頃から考えていました。卒業後、22歳から4年間飲食店で働き、最後に魚屋で働いてるとき、たまたまコンビニで手に取った求人雑誌にベトナム求人をみつけまして「これだ」と思い、33歳のときにベトナムに渡りました。
肴や出店までの歴史
最初のお店は、「日本食」をなんでも取り扱う和食屋です。ホーチミンとハノイの2店舗あったうち、私はハノイを任せてもらい、2年くらい働いていました。当時のハノイは信号機が一つもなくて、夜10時になるとピタッと人がいなくなる寂しい街だったんです。
2つ目のお店は、ホーチミンのレタントンに、和歌山のオーナーが経営する「紀州」というお店の料理長として立ち上げから参加しました。当時レタントンは住宅街で、今に比べると、とても静かな街でしたね。ハイバーチュンからパスター通り側にお店はあったんですが、僕が出したお店のエリアは周りから「うまくいかない」と言われていたんです。しかし、「絶対やってやる」という想いで始めました。結果・・・オープン翌月から固定客も付き、順調な経営が出来ました。その時大きかったのが旅行会社やホテル会社との関係性でしたね。その方々と仲良くしていて、お互い持ちつもたれつで集客ができました。
3つ目のお店は、ティーサック通りの「和さび」というお店の立ち上げです。こちらは共同出資で始めましたが、私も慣れてないのもあり・・・上手く経営が行かず、やむを得ずお店を畳みました。
4つ目のお店は2007年、いまの「わか葉」がある場所で1号店を立ち上げました。当時その場所の周りには怪しいお店が多かったんですが、ここでも「絶対にやってやる」の想いで始め、1日100人以上の集客あるお店まで造りあげました。95%以上が日本人のお客様でしたね。
2012年には、今のレタントン酒場がある場所の隣に出店しました。赤字にこそならなかったですが、席数もあまりとれず、これまでの商売と比較すると成功というにはほど遠かったかと思います。
そして2014年10月、レタントンのお店がボチボチな状況なときに、ベトナム中部の町にホテルをオープンするので「総料理長としてどう?」と誘いをもらいましてそこで働くことになりました。しかし、契約書を交わしてしっかり確認したつもりだったんですが、契約の不履行が多く、困ってしまい、8ヶ月程頑張りましたがそこを離れることになりました。
実はその後、軽くこもっちゃったんです。。。というのもお客様と会うのが辛くてね。お会いすると「いつからお店やるの?」と声をかけていただくことがあって、嬉しい話なんですが、なかなかできない状況もありましたし。。。。そんなときに、兄弟や常連様が「応援するからもう一度お店を!」と背中を押してくれて、そこから今の肴やを作りました。
【肴やについて】
物件を見つけた経緯
肴やの物件は、たまたま見つけました。知り合いから「飲食店をやりたいので物件を探してほしい」という相談を受けて、時間もあったので物件探しを手伝ったんです。そのときに今のお店の2件隣の物件を見つけて、すぐに紹介したんですが、結局友人はその物件でお店をやらず。であれば自分でと思い、2日後に見に行ったんです。しかし時既に遅し。。既に借りられちゃってました。。。
タイミング逃したなー、と思って今の物件を通りすぎたときに、「貸し出し」とはなかったんだけど、あからさまな空き家でね、隣のお店の人に「ここを借りたい」って伝えたら、たまたま借りることができました。
集客について
2016年10月にオープンしましたが、すぐに集客ができましたね。お店のオープンを待ち望んでいたお客様から「ちゃんぽんがまた食べれる!」という声をきいたときなど嬉しかったです。
頑張ってる日本人を応援したい、という気持ちで始めましたので、週に2・3回は来れるような値段設定にしています。実際にた来店いただいているお客様の7割は日本人、次がベトナム人、そして白人系ですね。ディナー単価は300,000vnd(約1500円)で、宴会などがあると500.000vnd(約2500円)で時間無制限の飲み放題でやってます。皆ベロベロになるまで飲んで帰りますよ(笑)
▲気軽に食べられる定食
▲長崎ちゃんぽん90,000VND
人気メニュー
ちゃんぽん、カレーがよくでますね。夜は日替わりのオススメメニューを中心に50,000vnd(約250円)〜150,000vnd(約750円)の価格帯です。私が長崎の田舎からもってくる〆鯖とクジラ料理も人気です。
▲取材日のオススメメニュー
ちゃんぽん麺について
ちゃんぽん麺の仕入れが一番大変でした。独特の太麺と同じものがなくて、最初は知り合いから麺を紹介してもらって仕入れていたんですが、良い時と悪い時の差が激しくて。。ベトナムで麺屋さんを経営されていて、今は製麺業だけされている樺山さんに特注で依頼しています。
内装について
肴やは立ち上げまで500万円くらいでできました。内装はローカル企業にお願いしているので、日系の業者さんに比べればコストを抑えることができたんです。
【ベトナムでのトラブル関係について】
物件選び
一つ勉強になったのは、DOOR to DOORじゃないと難しい、ということでした。ベトナムの雨季は、雨が多く降ります。タクシーを降りてすぐ入れるお店の方が来店しやすい、ということがあると思いますね。
家賃の値上げ
お店の経営は順調でしたが、過去に大家さんとモメたりもしました。
最初の家賃は1800USDだったんですが、3年後に2500USDに、5年後にはなんと4000USDになりました。今も家賃値上げの話を聞きますが、想定外のリスクはあることを認識しておかないといけませんね。
ファンビッチャン という街
ここはもともと治安が良くなく、今でも日本と比べると安全とは言えないです。ひったくりの話もたまに聞きますしね。 住んでる人は日本人はもちろん、欧米人も多いですね、近くのバーなんかは、欧米人で溢れてますよ。
お店の主要な人員ポスト
これまでの経験を活かして、キャッシャーや仕入れ、対税務署、公安そして保健所に全て身内が対応するようにしてますね。
これまで色々トラブルがありましたので、その分身内なので安心して任せられますし、おかげさまで僕が日本に仕入れに行けます。中をしっかり固めるって大事ですよね。
最後に飲食店さんへメッセージ
まずは6ヶ月、できれば1年くらいベトナムに住んでほしいです。周りからの意見も大切ですが、自分の目でしっかり回って見てほしいです。私でよければ、何か困ったことがあれば相談にものりますので、気軽に連絡ください。実際、いろんな飲食店さんがウチのカウンターに飲みに来て情報交換したりしてますよ。
あとがき
ディナー営業の肴やに伺うと、堀山氏はもちろん、カウンターのお客さんが和気藹々と笑顔で会話を楽しんでいた。すっかりベトナムにいることを忘れさせてくれるのは、肴やの空間だけでなく、堀山氏の包容力とも言えるだろう。長く愛される秘訣は、自分も一緒にお客さんと楽しむこと。それが1番居心地をよくしてくれるのだろう。
店舗情報
【肴や】
住所:50 Me Linh Phuong 19 Q, Binh Thanh
電話番号:085-2004323
メールアドレス:[email protected]
営業時間
ランチ 11:30-14:00
ディナー 18:00-22:00 L.O.22:00
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2020/03/06)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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