日本にある親会社の㈱クイックは「関わった全ての人をハッピーに」の経営理念に基づき、約1400名の従業員数で上場(東証一部)している企業。人と企業を結ぶ人材採用支援を中核として「人材」をテーマに事業を拡大している。海外展開としては1997年にアメリカからはじまり、その後中国、ベトナム、メキシコ、イギリス、タイと6か国へ活躍を広げている。今回は2012年春からベトナムで活動しているクイックベトナム代表取締役の古屋氏に、ベトナム人の特徴や、ベトナム人と働くにはというポイントに絞って話を伺った。人材紹介・採用支援のプロが語るマネジメント方法や、面接のポイントとは?
ベトナムにきたのはいつ頃ですか――――
はじめて視察にきたのが2011年、駐在開始が2012年なので早いもので丸8年になります。日本本社は現在、従業員1400名くらい、売上で約200 億、経常利益で25~30億くらいの会社になりましたが、私が入社した当時は70名くらいのベンチャー企業でした。そこで部下百名ぐらいを管理する部長の立場になったある時に、創業社長から「資本金2000万円だすからベトナムで会社を作ってこい」て言われまして(笑)結構な無茶振りな状況で、ベトナムにきました。
ベトナムの発展とともに、ですね――――
私が来た当初、例えば2区の方は「真緑の自然湿地帯」でしたね、対岸の方は建物は一つもありませんでした。今では高層マンションが立ち並び、だいぶ景色が変わりましたね。外資系外食企業でいけば・・・当時あったのはロッテリアくらいでしたかね。コンビニも試験店舗をはじめたくらいで、本当にまだ何もないころでしたね。
ベトナム語を使われてましたね――――
ベトナム語は赴任してから、大学の社会人コースで3年間勉強しました。面接のアイスブレイクでベトナム語で話したりすると、びっくりされることが多いですよ。日本の駐在の人でベトナム語を学ぶ人は少ないからだと思います。私の感覚では、真剣にベトナム語を学ぶのは韓国人が6割、台湾人が3割、残りが欧米系で、日本人はほんの少しというイメージですね。というのも、南部にきてる韓国人は自営業者が多いんです。なので根を這っていきたいんですよね。だからこそベトナム語を学ぼうという意識が高いのかなと思います。
ベトナム人をマネジメントする上でのポイント
ベトナム人が大事にしてることは何ですか?――――
家族を大事にする、ということでしょうか。ベトナムは年金制度そこまでがしっかりしていないので、社会人になった子供が親をサポートする、というのが当たり前なことなんです。給与も一部は親に渡します。そういう意味で、ベトナムでは「家族」の影響力はとても大きいですね、だからこそ、スタッフの採用や定着を考えるときには「ご家族の影響」も考えたほうがいいと思います。面接時は、出身や家族構成、家庭環境あたりは、仕事に少なからず影響する可能性がありますので、ヒアリングをしておいたほういいと思います。日本ではNG質問なので注意は必要ですが。。。そしてホーチミンは商業都市として全国から人が集まる場所ですので、出身地が同じだと仲良くなったりしますね。
独自に行われたアンケートについて教えてください――――
アセアン全土で仕事に関するアンケートをいくつか行いました。その中で「仕事とプライベートどちらが大切ですか」という項目があったんですが、ベトナム人の8割は「仕事」と答えたんです。でも実際、家族旅行やご家族の誕生日など、私的な理由で休みをとる子が多くて、いろいろ紐解いていってわかったことは、「親」「家族」「親族」からの要請というのは「プライベートを超えた上位の価値観」というイメージなんです。なので彼らにとって「プライベート」ではないんですね。ベトナム人が考えるプライベートというのは「主体的な意味」でのもので遊びたいとか飲みに行きたいとか、そういうことを「プライベート」と考えてるんですね。適正検査なので他の国よりも数値が高かった「継続して持続する力」は、日本人や他国と比べても高い、ということでしょうか。そういう意味では、まず仕事の型にはめてあげるのが大事かもしれません。継続して行う力や生真面目さもありますので、仕事を進めやすくなると思います。
ベトナム人から見た日本人とは――――
なによりも日本人に対する「リスペクト」がありますね。他国にいったら、日本人をこんなにリスペクトしてくれないですからね。おそらくベトナムでは、バイクのホンダ、食品ではエースコックなど、生活に必要な「乗り物」「食べもの」が日本製ですので、ベトナム人にとって日本は身近で、受け入れてもらいやすいのかなと思います。また、ベトナムは相手の年齢によって呼称が変わります、年下の女性には「Em ơi」、年上の女性には「Chị ơi」、おばあさんには「Bà ơi」のように。そういう意味では年上の人を敬う文化がありまして、その価値観は、日本人に近いものがあるのかもかなと思います。
採用活動のポイントを教えてください――――
日本もそうだと思いますが、ベトナムも面接を受ける前に、最近では「会社の評判」を調べれる子は多いですね。企業を紹介しても、「そこはちょっと評判が・・・」と断られることもありますので。面接の担当者さんにお願いしたいことしては、例えば不採用だとしても、丁寧に対応することをおすすめします、何かをネットに書き込まれると不利益にもなりますので。退職する社員にも同様に丁寧に対応頂きたいです。ベトナムの若い世代はネットを使いこなしていますからね。会社のブランドに傷がつかないように、注意をしていただきたいですね。
ベトナム人が好む、嫌がる職場環境は――――
ベトナム人だから、というわけではないかもしれませんが、上から目線でパワハラのような接し方をしてくる上司がいたり。例えば日本人同士が激しく口論していて雰囲気が悪い職場や悪口や汚い言葉を使う職場だったりではないでしょうか。日本語がわからないにしても、彼らも雰囲気から感じ取ることはできますので嫌がります。逆に「日本人の責任者が背中で見せる」というのは大事ですよね。例えば朝一の掃除を自分でやるなど、背中を見せることで、ベトナム人に伝えることができると思います。
またベトナム人は会社のイベントは大好きです。飲み会や社員旅行に友達や家族を連れてきたり、お揃いの会社のポロシャツを着て定期的なイベントをするのは大事ですね。
ベトナム人のマネジメント方法――――
組織の発展状況によっても違うと思いますが、立ち上げ時は母性的な優しいマネジメントを作って、組織が大きくなってきたら評価制度を整えるなど、厳しくして行く感じです。事業発展の状況に合わせたマネジメントを考えるのがいいかと思います。ちなみに弊社で最初に採用したベトナム人スタッフは9年一緒に働いていますが、当初は社員一人と言うこともあって、ほぼ毎日一緒にランチ食べてました。食事を一緒に過ごすのは国籍や言語を超えて親和性は高まる気がします。また、適正検査から見ると、曖昧なことに対するストレス耐性が低いかもしれません。曖昧なことやファジーな状況は嫌がります、明確な指示をしてあげることが大事ですね。
人件費を考えるポイントを教えてください――――
8年前のワーカーさんの最低賃金と比べますと、2倍近くになっていると思います。ただ、企業が考えなきゃいけないのは、昇給額も大事ですが、CPI(消費者物価指数)を考えることですね。昇給が5%上がっても物価も5%上がっていたら、肌感覚的には昇給した気はしないですからね。昇給額を決める時はそCPIも考えながら査定をしないといけませんね。私が聞いたところだと、大学卒業の新卒で、給与が一番高い会社だと800ドルくらい支給されてます。この額だと「ベトナムは人件費が安いから」という意味合いはなくなりつつありますね。飲食店のマーケットで考えれば、ベトナム人の賃金が上がるということは、飲食店の客単価も上がる可能性がありますので、チャンスになるかも知れませんね。リスクで考えれば、人件費の上昇は経営計画ではしっかり織り込んでいくべきですし、家賃の上昇率も高いので、そこも考えていく必要があります。我々の事務所も家賃交渉があるんですが、上昇率が40%〜60%アップというところから話がはじまりますからね。もちろんこの場所は日本でいうと銀座のような場所にありますので、ある程度家賃のアップは覚悟はしてますが、さすがに勘弁してほしいですよね・・・(笑)飲食店も「家賃と人件費の上昇するリスク」は考えた計画を作る必要があると思います。
あとがき
一言で語ることが出来ないベトナム人の性格や特徴を自社の適正検査結果を元に細かく説明してくれた古屋氏。我々日本人も同様だが、今の風潮になったのも、国の歴史や生活環境が大きく影響しているのだろう。平均年齢約31歳と、日本に比べて16.2歳も若いベトナム。ベトナム人教育に悩んでいる方やこれからベトナム人の採用を検討している方々には是非参考にしていただきたい。
企業情報
【QUICK VIETNAM CO.,LTD.】
代表:古屋 竹雄
住所:4F IBC Building, 1A Cong Truong Me Linh Street, Dist 1, HCM City, Vietnam
電話:+84-28-3823-6001
FAX:+84-28-3823-6002
URL: https://919vn.com/
(古屋氏のコラムに、より詳しいベトナム人教育や採用事情がございますので是非御覧ください!)
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2020/03/03)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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