2015年に創業し、ベトナムの日系飲食店を中心に麺を卸している「ミソヤベトナム(MISOYA VIETNAM)」。
本社は「田所商店」を日本、アメリカ、カナダ、ブラジル、イタリア、スリランカ、タイ、ベトナム、台湾に展開する「株式会社トライ・インターナショナル」。
今回は、ベトナム工場を立ち上げた経緯、飲食店開拓、麺づくり、人材教育などを
Factory Managerの鈴木政尋(Suzuki Masahiro)氏とSales Chiefの伊藤孝(ITO KO)氏にお話を伺った。
写真:鈴木政尋Factory Manager
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■工場の概要について教えてください。
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<鈴木Factory Manager>
広さは20m×50mの1000m2、ラインは最大一日10000食の生産が可能な工場です。
社員は全部で13名、私共の日本人2名を除いてベトナム人11名です。
内訳は、営業が1名、総務・経理で3名、生産は7名、
年齢は下は18歳、上は30歳のメンバーで構成しています。
現状は、一日2000~3000ほどの生産は行っており、ラーメン屋はもちろん、
日本食レストランでもラーメンを扱うところへ問屋経由を含め多数のお客様にお取引いただいています。
ですが、10000食フルで受注することは考えていません。
万が一機械のトラブルが発生し麺の製造ができない場合、お客様はお店を開くことができません。
お客様の生活を担っている責任が私どもにはありますので、
余裕をもった生産ライン、リスク管理をすることが大事なんですよね。
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●入社の経緯を教えてください。
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<鈴木Factory Manager>
新潟県にある製麺会社「株式会社めんつう」で46年勤めていまして、
そのときに田所商店とのお付き合いがございました。
65歳の役員定年を迎え退職したときに、田所商店から
「ベトナムで麺を製造できる工場を作るので手伝ってもらえませんか」とオファーを受けたことが、
<伊藤Sales Chief>
ホーチミンのレタントンにある日本食レストランで働いていたんですが、
そのときに「工場ができるので一緒に働かないか」と声をかけてもらったのがきっかげですね。
写真:伊藤Sales Chief
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■ベトナムに工場つくった経緯を教えてください。
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<鈴木Factory Manager>
2015年にビンズンのイオンにMISOYAというラーメン店がオープンしたときに、
麺、味噌をベトナムで作るという計画がありました。
ただ、味噌と麺は仲が悪いんですね、味噌は発酵酵母やカビが大事ですが、
麺は酵母カビは腐敗につながります、二者択一にしないといけない、ということでまずは麺工場をはじめました。味噌についても、今年の春に日本の味噌メーカーをグループ化しまして、
その味噌をベトナムで販売してくことになりました。
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■MISOYAで生産した麺の卸先について教えてください。
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<鈴木Factory Manager>
通常の会社さんは、労働者の給与が安いエリアで製造して日本に輸出する、
というのが一般的だと思いますが、MISOYAの場合、実は麺は日本の店舗で扱ってないんです。
この工場を立ち上げた当初、ミッションは3つありまして、
味噌を作って販売すること、麺を作って販売すること、ベトナムの農水産加工物の販売をすることでした。
農水産物加工では、カシューナッツ・フライドオニオンなどをベトナムで購入し日本へ輸出しており、
フライドオニオンは、日本国内の店舗にも使ってもらってます。
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■MISOYA VIETNAMの現在の取引先数、開拓方法について教えてください。
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<鈴木Factory Manager>
問屋さん経由も含めると、多数ありますね。
ラーメン屋さんはもちろん、日本食レストランさんでもラーメンを扱うところには卸しています。
<伊藤Sales Chief>
開拓は、お客様からの紹介も多いですが、基本的には電話でコンタクトをとりまして
訪問可能な時間を教えていただき、提案にお伺いしていますね。
ご提案は、訪問したときに「これを使ってください!」というより、
どのような麺がご希望かお聞きすることが中心になります。
ご相談頂いてから完成するまでの期間はバラバラですが
数日でOKを頂いた店舗様から、数ヶ月試行錯誤した店舗様までありますね。
ロットについては日本に比べて多くない店舗様に薄利多売で商売をしていく必要がありますので、
だいたい1回で200食~300食を1ロットで発注してもらい、
必要な分だけお店に配送させてもらっています。
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●MISOYA VIETNAMの麺づくりについて教えてください。
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<鈴木Factory Manager>
まず・・・ベトナムに来る前まで「麺のレベルはそんなに高くないだろう」と思っていましたが、
実際はお店様のレベルが非常に高い、日本と変わらないことに驚きました。
お客様の要望に応えるため、小麦粉、副資材などは日本から購入しています。
アルコールはベトナムのものを使用していますが、
日本製のカンスイ、乾燥卵白、グルテンなどの副資材を購入していますので、
今回の先生は日本人で、14、5年前にアメリカでラーメン店をスタートし成功させた、
ラーメン業界ではかなり有名な方にご協力いただいております。こちらの学校を卒業した方が、
私共の麺を使ってもらえるようになるとうれしいですね。
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■MISOYA VIETNAM、今後の展望について
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<鈴木Factory Manager>
ベトナム全土に麺を紹介していきたいと思っていますが、
まだまだ日本に比べて流通が発展していないので、道のりは長いですね。
ベトナムの給与水準があがれば、日本のラーメンも食べやすい状況になると思いますが、ワーカーさん給与も上がります。
それでも、麺の出荷が増える可能性がありますので、早くそういう状況になるとありがたいですね。
<伊藤Sales Chief>
ベトナム国内での出荷を増やして足元を固めつつ海外へ、ヨーロッパなどは出荷していますので、
近隣のASEAN、オーストラリアへ販路を拡大させていきたいですね。
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■これからベトナムでラーメン屋の出店を考えている方へアドバイスを。
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<鈴木Factory Manager>
ラーメン屋ではないので麺作りの立場からですが、自信のもてるラーメンを、
「私はこれでいくんだ!」という強い気持ちで提供し続ければベトナムの方にも理解していただけると思います。
<伊藤Sales Chief>
私も個人的な意見ですが、こだわりを持つことはすごい大事なことだと思いますが、
ある程度妥協する、ということも大事なんじゃないかと思います。
ただ、妥協しすぎると味がぶれてしまいますので、難しいと思いますが
ちょうどいい塩梅を目指されるのもいいと思います。
会社名 / ミソヤベトナム(MISOYA VIETNAM)
所在地 Kizuna Service Factory 1, Factory C4, Road 8B, Lot K – Tan Kim Industrial Park,P. Tan Kim, Q. Can Giuoc, Long An Province
お問い合わせ先 0272-373-3789
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/11/05)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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