1979年精肉業として創業し、今年で40周年を迎える「株式会社 綱屋」。
現在では、精肉業で培った経験を活かし、博多和牛一頭買いの店「焼肉ヌルボン」や、ステーキガーデン「風の邱(かぜのおか)」など福岡を中心とした九州圏内に直営店14店舗、フランチャイズ店2店舗の飲食店を展開している。
そして同社は、2019年5月に海外一号店として、ベトナム・ホーチミン市のレタントン通りの一角に、ステーキハウス「IL CORDA」(イル・コルダ)をオープン。
同店は、当然ながら最高級の和牛も提供しているが、手頃な価格でもステーキが楽しめるよう、数多くのルートの可能性を探り肉質から保存方法まで拘ったオーストラリア産TAJIMA WAGYUとブラックアンガス牛を取り扱っている。
また、チャコールステーキハウスとあるとおり、ステーキに炭火の香りがしっかり残る独自の焼成方法が特徴だ。
総席数は120席、カウンター席、テーブル席、半個室席、個室席にテラス席と様々なシーンで使えるよう設計されている。
今回は、ベトナムで出店することになった経緯や過程、ベトナム事業へ関する思いなどを同社の専務取締役でもあり、現地法人の代表者として現場にも立つ村上正明氏に聞くことができた。
どのような経緯で店舗をベトナムに構えましたか?
約5年前から社内で海外展開をしようという話がありました。
あらゆる国を模索し視察をしていました。その中でもベトナムを選んだ理由は、街の雰囲気であったり、そこに住んでいる人たちの雰囲気や気質、日本という国や人に抱くイメージなど、我々がこだわってしようと思っていることに対して、ベトナムであれば、日本人の持つ価値観に共感し、理解してもらえると思ったからです。
また、日本人とベトナム人の人が喜ぶであろうものが、お互いマッチしやすいのではないかと感じたこともあり、ベトナムにて出店しようと決意しました。
株式会社綱屋 取締役専務 村上正明氏
ベトナムで物件を探す上で感じたことはありますか?
所有者と貸出者が異なっていたり、契約交渉の大詰めになって1.5倍の賃料を提示されたり、契約したい期間が土地の契約よりも長かったりして契約できなかったことがありました。しっかり調べることが大事だと感じましたね。
また、物件が前向きに決まった段階で、内装はあらかたイメージを決めていたのですが、建物の問題などもあり、内装工事に取り掛かることが大幅に遅れてしまいました。
内装工事は日系企業に依頼しました。
現地企業も含め数社打ち合わせをしましたが、日本人デザイナーが想像したイメージを日系企業が最も近い形で再現できると感じたからです。
ですが、資材は輸入品を使用すると高くなってしまうので、可能な限りローカルで部品を調達しました。
そうすることにより、工事費用は日本国内で同様の工事をするときより安くなった部分も多々ありましたね。
ベトナムで経営していくにあたり大切にされたことは何ですか
「人」「商品」「店」という3つのテーマを大切にすることにあります。
「人」や「商品」の力はもちろん、他にないような「店」を作るというこだわりを持って運営しています。
また、ベトナムで店舗展開していくことが目的なので、
ベトナム人スタッフのおもてなしで、ベトナム人のお客様に感動と幸せを感じていただけることを目標に、人づくり、店づくりを心がけています。
もちろん、ベトナム人に限らず、人種関係なくお肉が好きな人に、「ここのお肉はおいしいね」と言って、喜んでもらえることに焦点を当てています。
「人」のこだわりを教えてください
当社のベトナム人スタッフには、日本人の働き方と同様に、一人のスタッフが複数の作業を同時に進行させられることを目指して指導をしています。
ベトナム人スタッフの給与水準を上げ幸せを感じてもらえる職場づくりが一つの目標なのですが、そのためには生産性を上げないとならないからです。
また、当社はクレド(※)を採用しておりますが、日本の文化とベトナムの文化の違いから、正確に我々が大切にしたい想いが伝わらない可能性もあるので、より具体的な説明を加えた文章に仕上げました。
これは毎日朝礼の中でも取り上げ、ほんとうに少しづつではありますが、理解し、実行してくれるシーンが増えてきました。
常に何かしらの目標を持って、それに対して振り返りをしてもらうことで、より成長に繋げていきたい、と思っています。
これは、日本よりも力を入れているうちの一つですね。
※クレド=企業が大切にしている信条やポリシー、ありたい姿を、簡潔に記したもの
「商品」のこだわりを教えてください
お肉については、和牛だけでは距離的に主に冷凍での流通となってしまい、
品質的にも価格的にもそれだけでは限界があり、他のルートも探ることを初めから模索していました。
とにかく色々な業者にあたりましたね、
倉庫まで行って商品の扱いや設備の確認、流通の過程まで見させてもらったり、
本当に我々が納得できるルートを選び抜きました。
行き着いたのはオーストラリア産TAJIMA WAGYUとブラックアンガス牛でそれをチルドで仕入れています。
また、調理についても「お肉にストレスをかけない」をコンセプトに、
じっくり時間を掛けてゆっくり焼いていきます。
実は3つの焼台があってそれぞれ行程に使い分けて仕上げているんです。
肉以外については、現地には現地の美味しい物があって、それを我々の日本人の技術で美味しく調理することが喜んでもらえるという考えです。
ですが、日本にはあるのに現地では手に入りづらいものもあり、代用品を探すことには苦労しながらやっていますよ。
「店」のこだわりを教えてください
接待や宴会、デートなど様々な場面で来てくださるので、個室、半個室、カウンターなどを用意しているのですが、それに合わせた内装であることはもちろん、椅子とテーブルとの高さの間隔や明るさ、音楽のボリュームなどもそれぞれで変えています。
日本人ならではの小さなこだわりの積み重ねで雰囲気づくりを心がけることも大切に考えています。
最後に、ベトナムに進出して良かったと思うことを教えてください。
こちらのお客様は、日本と違い、お客様が思ったことを気持ち良いことでも悪いことでも、ストレートに伝えてくれます。
それは我々にとって大きなやりがいであり、飲食店を運営する楽しさが日本よりも強く感じることができております。
また、スタッフとのコミュニケーションの中でも、仕事取り組む直向きな姿勢や、向上心を感じることも多く、逆に我々の刺激というか成長に繋がっていると実感しています。
今後は、ベトナムでの店舗展開ももちろんですが、日本の店舗との人材交流なども積極的に行い、会社としての成長を目指していきたいです。
店内の様子など見せていただきました。
一人のお客様や食事が終わったお客様がベトナムの喧騒を眺めながらクラフトビールやワインを片手に過ごしたり、店内で食事をして、テラスの席に移動しドリンクを飲む方もいらっしゃるそうだ。
1階のカウンターは、2人でも3人でも顔が見合わせられるようにカーブさせているそうだ。
村上さんがお気に入りのロングテーブル席。
大人数のワイワイとした宴会はもちろん、カップルで横並びに座って食事をするのもおすすめだそうだ。
ステーキを焼いている姿がライブで楽しめるカウンター席。
日本語、英語、ベトナム語の三か国語で表記されている。スタッフが意味合いを理解する誤差をなるべく少なくしたい、という意図だそうだ。
グランドメニュー。
メインのステーキ以外も充実しており、多様な利用に対応ができそうだ。
朝礼も見させていただきました。
この日は約20分。
スタッフ一人ひとりがクレドの項目に即した具体的なその日の目標を発表していた。
それぞれのスタッフが当日の目標を他のスタッフに伝え、責任感を持って業務に取り組むことで、
日々スタッフを成長に繋げている様子を伺うことができた。
店名
「IL CORDA」(イル・コルダ)
住所
11 Đường Lê Thánh Tôn
- Bến Nghé
Quận 1
Thành PhốHồChí Minh
Việt Nam
営業時間
11:30~15:00
17:00~23:00
定休日なし
電話番号
+84 28 38234929
HP
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/09/11)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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