写真 サッポロベトナム 正脇 幹生(まさわき みきお) 社長
サッポロビール株式会社傘下のサッポロベトナムはベトナム国営のたばこメーカー「VINATABA」との合弁会社として設立。2011年に工場完成、2015年には全株式を買取、正式な営業開始から8年目を迎える。ベトナム市場に揉まれ、そして発展を遂げるに至った経緯を聞くとベトナムのビール市場を始め、外食マーケットとといかに向き合うかのヒントが見えてくる。
インタビュー取材には、社長 正脇 幹生 氏と副社長の山本 茂雄 氏、輸出営業担当の田村 祐介 氏が応じてくれた。
どうしてベトナムに—————
2006年に取得したカナダの工場に続いて東南アジアに事業展開しようと考えていたところ、ベトナム国内の酒類の消費率でビールが占める割合が9割であるベトナムに目をつけました。当時酒造業を展開しようとしていた「VINATABA」との合弁で工場を建てられたという縁もありますが、ベトナムのビール市場がどんどん拡大しており、アジア圏内ではビールの需要が1位の中国、2位の日本に続いてベトナムが3位である等、魅力的な市場で弊社としても進出に迷いはありませんでした。
進出した当時にしたこととは————
サッポロというブランドも何も知らないベトナム人に対しまずは知名度を上げることから始め、女性や著名人を使って広告宣伝を行いました。その結果、毎年のホーチミン市内で行っております知名度調査では認知率が約98%に到達しました。今では日本食のお店に対しては最重要得意先に、ベトナム人に向けては日本のブランドとして、高い品質と安全を基本のブランドコンセプトにし、情緒的には何か良いことがあったときやハレの日にすこしいいレストランなどで飲むような日本のビールとしてあつかってもらうような認識を頂くようにしております。
日本食のお店に対しては、ハレの場を体験できるお店として最重要得意先の一つとして考えております。
日本との商品の違いはありますか——————
あります。商品は日本の黒ラベルをベースにしたサッポロプレミアムビールをメインに販売しており、サッポロベトナムの基本となるビールです。そして、2016年に販売開始をしたBLUECAPという青いラベルのビールはベトナムの方向けに市場調査をし、それを基に作った全く新しいビールで、普通のプレミアムビールの値段の約7割という設定にしております。実はこれらのビールは年々味を改良し続けており、ベトナムの方の好みに合わせて苦みを抑えたものになっています。ベトナムではビールに氷を入れて飲む風習がありますが、氷を入れてもおいしく飲める味の工夫をしています。
写真左:サッポロプレミアムビール 右:BLUECAPビール
ここまで至るのに大変だったことは—————–
コストの見直しですね。広告活動に関してはちょうど私が社長の任に就いた2015年から方向転換をしまして、過剰な広告投資を控えた体制にしました。認知度が出てきたところで、次に着手したのはコスト削減です。人員の効率的活用、製造原価低減等によるコスト削減に着手し、利益改善に繋げることができました。
写真 サッポロベトナム 山本 茂雄 (やまもと しげお)副社長
営業のスタイルは日本と同じなのですか———————
ベトナムは流通が独特で、日本と違ってこちらの問屋さんは配達と集金が主な業務です。日本では配送・集金などの機能に加え、営業機能やマーケティング機能をもって商売をそれぞれの取引先でやってくれるのが日本流ですが、ベトナムにはそれが殆ど無く、配達と集金のみで日本食業態、チェーン業態以外は我々が直接飲食店へ行ってオーダーをとります。
国内のスーパー等の小売店もさらに独特で、メーカーが商品を店頭の棚に並べる事や、棚の前に人を派遣して商品を売るといった事が常態化しています。なので我々が人海戦術であらゆる売り場を管理する必要があります。
ちなみにベトナムでは、日本と違ってお店の中でのメーカーによる酒類の専売は法律で認められていません。
写真 サッポロベトナム 営業課 田村 祐介(たむら ゆうすけ)輸出営業担当
ベトナムでお店を開きたい方がサッポロビール様を入れたい場合どうしたらいいのですか—————
日系の方は何かしら日本で経営されていたお店のコネクションを用いて連絡が入ったりします。一方、現地で初めて開かれる方は現地従業員のローカルコネクションや交友関係を利用して当社の現地スタッフまでコンタクトをとってこられます。前述の通り、ベトナムは問屋さんの広告活動やセールスは期待できませんので問屋さん経由で情報が来ることは稀です。また、当社からも情報収集をします。建設中の建物があれば、工事関係の方に何が建つのかをお聞きして情報を得てからキーマンに会いにいきます。じっとしているとなかなか契約がとれないので弊社もお店に対しての飛び込み営業を心掛けています。
お店の開業支援はしていますか———————
基本的にベトナム国内では行っておりません。日本だとサポートには応じさせていただいておりますが、海外であれば例えば物件紹介であれば現地の物件は条件が常に変動する等紹介できる状態では無く、現段階では予定はございません。
メニューブックは制作していますか————————–
主にローカル業態向けに外側の枠の提供と商品デザインの提案は可能です。
最後に、これからベトナムで飲食店をやろうと考えてる方々に何かメッセージを————
日本人工場長の下、日本同様厳選した高品質な原料を使用し、またテクノロジーを駆使してホーチミン近郊の弊社のロンアン省にある工場ではおいしい樽生ビールをたくさん造っております。ロンアンから近いホーチミンの店舗へ新鮮な樽生ビールをお届けできるのは、弊社ならではの強みですので是非ご活用ください!
■会社データ
SAPPORO VIETNAM LTD.
工場所在地
Viet Hoa Industrial Zone-Duc Hoa 3, Duc Lap Ha Ward, Duc Hoa District, Long An Province
本社オフィス住所・電話番号
Floor 17th, Green Power Building, 35 Ton Duc Thang Street, District 1, Ho Chi Minh City
T: (84-8) 2221 7666 IF:(84-8) 2221 7671
W:https://www.sapporovietnam.com.vn
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/04/26)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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