外務省の調べによると、海外における「日本食レストラン」は、前回調査(平成29年)から3割増の約15万6千店にも及ぶ。そんな中、ドバイの公邸料理人として日本食を振る舞っていた三輪氏。その後もタイはバンコクで寿司講師として現地人に教え、2020年1月にベトナムにやって来た。様々な国を跨いだ三輪氏だが実は筆者と数年前に日本で一緒に働いていた共通点があり、インタビューは和気あいあいとなった。
最初に目を向けた海外はアフリカ
鈴木 お久しぶりです(笑)7年前に同じ職場で働いてた頃が懐かしいですね!あの後私はシンガポールに行きましたが、三輪さんの経歴をお教え頂けますか?
三輪氏(以下:三輪)本当に久しぶりですね(笑)鈴木さんと一緒に働いた職場で1年間ほど経った後、元々経験していたイタリアンの世界に戻ろう、と有楽町のイタリアンで働いてました。将来独立をしたいという思いがあったのですが、料理をやりたいかと言われたら、そうではなく、武器として料理しかなかったんですよね。そして周りにいる料理人の「熱量」と自分の料理人としての熱量を比較したときに、自分はそこまでの想いを持っていなかった。それであれば、自分が料理をするお店を作るのではなく、情熱をもった人が活躍する場を作りたいと考えました。
料理の腕は確かなのに、埋もれてしまっている人たち、そのような人たちがスポットライトを浴びるような場所を作りたいなと、そんなときに海外で活躍する日本人料理人の話をいくつか聞き、仕組みを作ってから海外で働くことを決意しました。それで最初はアフリカに行こうと思ったんです。
鈴木 え、アフリカにですか?!
三輪 はい、初めての海外でアフリカを選んだ理由として、人間力が凄そうだから。しかし当時は英語力もなかったのと、料理人としても若く経験値も高くなかったので、自分が勝負できる職場がアフリカになく。そんな時、知り合いからの情報交換で「ドバイ」を知り、行ってみました。
ドバイで公邸料理人ーーー
鈴木 ドバイにコネがあったんですか?
三輪 コネではないですが、知り合いがドバイで日本食レストランをオープンさせるという話を聞いたんです。海外で働くにはもっと日本食をしっかり勉強した方がいいなと思ったので、一度日本に帰国し、勉強することにしました。日本では「なだ万」など京都の料亭出身の方の下で割烹料理を勉強しました。帰国して1年ほど経ったときに、商社とドバイの大使の会食に料理人として呼ばれて、そこで料理を振る舞ったんですよね。そのときに大使の方に気に入っていただき、ドバイで公邸料理人としてオファーを受け、ドバイに渡りました。
鈴木 す、すごいキッカケですね!
三輪)ありがとうございます。そこからドバイに渡り、合計3年間公邸料理人としてドバイで貴重な経験をさせてもらいました。しかし、公邸料理人という職業はとても複雑な立場でしたね。主に「大使が招いたVIPのお客様に料理でおもてなしをして、満足してもらう」という仕事なんですが、「商い」ではないんですよね。原価の縛りもないですし売上目標もない、もちろん1回の料理予算はありますが、食事を通して接待する仕事なんですね。とても勉強になりましたし、世界中有のVIPの方々の食事を提供する、とても貴重な経験になりましたが、物足りなさも感じていました。
鈴木 VIPな方へのおもてなし、想像できませんが具体的にどんな所が大変でしたか?
三輪 基本的には「和食」を提供していたんですが、ガチガチの和食だと評判はよくはないので、外国人に受けるように、見栄えなど工夫をして料理を提供していました。料理人は私だけでしたので、プレッシャーもすごかったですね。会食は週に4回程度あり、日本人の方も多かったですが、いろんな人種の方に料理を提供するというのはプレッシャーもありつつ、とても貴重な経験になりましたね。
ベトナム進出まで
鈴木 ドバイからホーチミン、あまり関連性が見えないんですが、ココに来られたきっかけは?
三輪 今の投資家の方に誘われたのがきっかけでした。その方が「ガルフード」という世界でも大きな食の展示会に「和牛の卸」としてドバイにこられていまして、その時に公邸に食事に来られたんですよ。そこで挨拶したのが最初の出会いです。私のお肉を卸している友人とガルフードさんが知り合いで、一緒に何度か食事をしたんです。何回かお会いしているうちに、ベトナムで料理人の教育、人材紹介を考えていることなどを聞き、その講師として誘われました。ただベトナムには行ったことがなかったので、休暇があったときにベトナムを回りました。最初はドバイと比べるとちょっと・・・と思ったのが正直なところです。しかし、ベトナムの歴史や経済の状況を調べてみると、日本の90年代に近かったこと、また料理も伸び代が見込める国だなと感じまして、ベトナムで働くことを決意しました。2019年10月からベトナム予定だったんですが、系列会社が飲食人大学のFCをバンコクで経営していてまして、そこで講師を3ヶ月だけしてほしいと依頼され、10月~12月の3ヶ月だけバンコクに滞在してました。その後、2020年の1月に本格的にホーチミンにきました。
鈴木 ドバイ、タイと世界を股にかけてますね~!その後のベトナム、ヘムに出店した理由を教えてください。
三輪 ベトナムの知識もなかったので、最初からベトナム人をターゲットで商売をするのは難しいと考えました。まずは日本人をターゲットにして足元を固めたいと。そんなときにレタントンを知り、出店しました。徐々にベトナム人の好みがわかってきましたので、次のお店はベトナム人のアッパー層をターゲットにしたお店をする予定です。
鈴木 ちなみに、日本人とベトナム人の味覚の違いはありますか?
三輪)同じだと思います。フォーは鶏ガラがベース、和食はカツオ出汁などの魚介、ベースは違えど味の方向性は同じですので教えればすぐに理解してくれます。
「しゃぶしゃぶ清水」について
鈴木 「しゃぶしゃぶ清水」のオススメや拘りは?
三輪 やはり和牛しゃぶしゃぶセットです。山口県岩国市から上質肥料(旭酒造『獺祭』の酒かすと米粉)を使用し、大自然の中で育った高森和牛を使用しております。年間出荷数は150頭程度と非常に少なく、幻の和牛とも呼ばれているんです。
▲金箔がちりばめられた希少な高森和牛
▲1枚1枚丁寧に提供してくれる店長の白井氏
▲日本語が流暢なベトナム人スタッフ
▲薬味も沢山あって嬉しい
鈴木 ヘムの中でも「しゃぶしゃぶ清水」の場所は2階ですよね、難しさはありますか?
三輪 そうですね、飲食経験者であれば「あの場所は。。。」となるような場所かもしれません。路面店に比べると中空階は入りづらいとは思いますので、そういう意味では難しいことだらけです。普通の居酒屋としてやるのは難しいのかなと思います。ただ、美味しい料理を提供し、居心地のいい空間、より良い接客をお客様に提供することで、他と差別化ができ、口コミから集客に繋がるのかなと考えています、おかげさまコンスタントに売り上げられるようになってきましたね。
今後の展開
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※上記に掲載されている情報は、掲載日(2020/03/11)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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