ベトナム、ホーチミンでは日系飲食店はもちろん、ローカルレストランでもWiFi環境に困ることはほぼない。そんなベトナムの通信を支えているのが国営キャリアの「Vietnam Posts and Telecommunications Group(以下VNPT)」。VNPTの中で唯一の日本人である白水氏に、ベトナムで飲食店を開くときの通信についてアドバイスを尋ねることができた。
VinaPhoneについて
鈴木)
はじめまして!自社ビル、かっこいいですね~羨ましい!
早速ですが、御社のことを教えて下さい。
白水氏(以下:白水)
ありがとうございます。はい、簡単に申し上げると弊社VNPTは日本で言いますところのNTT(旧電電公社)と同じ業務をする国営通信企業となります。また、日本で言うNTTのモバイル部門としてDocomoがあるように、VNPTのモバイル部門としてVinaPhoneがあります。私は所属がVNPTですが、ベトナム全土で従業員およそ23000人の中で、たった一人の日本人ということで、VinaPhoneにも携わっています。
鈴木)
たった一人の日本人となると、責任も会社からの期待が大きそうですね!
白水)
そうですね、ベトナム国営キャリアということで今後外国人を雇う予定もなさそうですし、本当に貴重な体験をさせてもらってます。メインは企業様のオフィスやお店、ご家庭の電話やインターネット環境を整える業務をしています。価格は政府が決めますので、人種の違いなどは無く正規の価格で販売しています。私自身、ベトナムのことが好きなので、在住者の方だけではなく、旅行者の方々に同じ様に感じてほしいんですよね。その為にできることとして、間接的にSIMカードの手配をしたりしています。
鈴木)
ベトナムって色々な規定が緩いイメージもあるんですが、、、、
白水)
日本から来る多くの方がその様な勘違いをされます。しかし社会主義国特有で、通信や電気ガスなどのインフラは国が定めた会社しか出来ません、新規のライセンス取得は厳しいですね。
VinaPhoneの強み
鈴木)
そんな御社の強みを教えてください。
白水)
1番の強みは、固定回線(インターネット・電話)です。ベトナム全土で弊社が通ってないところはほとんどございません。アナログ電話ではなく光電話を導入しています、開通工事もスムーズですし、お客様も不自由なく利用できます。モバイル通信に関しては絶対数で見ると「VIETTEL」の方が強いですが、市内で使うとなると、どこの会社もほとんど変わりはないですね。正直・・・日本人に好かれてるのは「mobifone」なんですよね、理由は契約の仕方が簡単だったからですね。
鈴木)
「だった」というのは?
白水)
弊社やVIETTELは完全な国営なのである程度厳しかったんですよね。一方mobifoneは簡単に契約ができたり、沢山のプランがあったりしたんですが、現在は3社ともに通信局指導の元同様のご契約条件にてSIMカードをご提供しております。
飲食店にオススメの通信事情
鈴木)
店頭に置く固定電話、アナログ電話と光電話の違いってあるんですか?
白水)
料金に関していうと変わりないので、僕は光電話をオススメしています。稀にアナログを好む方がいらっしゃるんですが、理由としてはセキュリティ関係での仕様や安定性の面だと思います。光電話は停電をしたり、朝や夕方のラッシュ時に通信速度がかなり落ちますので。何かあったとときにはアナログ電話の方が強いんですよね。
鈴木)
飲食店へのオススメはどちらですか?
白水)
まず飲食店に進める時は、緊急時のサービスを受けてるのか、受ける予定はあるかの確認をとります。それ次第で飲食店様にどちらがおすすめか変わりますね。こういった通信の仕組みを知らずに安さだけで契約すると、蓋を開けたら使えなかったと失敗される方は多くいると思います。多くの方は「ベトナムは安い!」と感じられますが、例えば日系レストランが、日本とあまり価格が変わらないのも、日本人監修の元、いい食材を日本らしい内装や設備で食べられるからだと思うんです。これは通信にも同じことが言えると思います。ベトナム企業の方が安いからといってサインするだけで後は任せしまう、というのは本当に辞めるべきです。内装屋さんに頼む方もいらっしゃいますが、彼らは内装のプロであって、機器の設置や回線に関してはスペシャリストではありません。ちょっとしたボタンの掛け違いからインターネットが使えないとなっても、遅いですからね。
鈴木)
インターネットが繋がらないってどういう現象ですか?
白水)
LANケーブルは物理的にインターネットの回線をつなげますが、WIFIはその中身を電波として空気中に飛ばす仕組みです、WIFIが繋がらない理由として考えられるのが、大きく分けて4つあります。
1つ目は、壁や距離が遠くて物理的に繋がらないこと。2つ目は、複数のWIFIが置かれていて、双方の電波が波のように広がっているためお互いの電波が相殺しあってること。3つ目は、接続台数や、セキュリテー台数が上限を超えて繋がらないこと。4つ目は、そもそもケーブルがダメになっていたり、機器が経年劣化してしまってること。などなど、これは一部ですが、沢山の原因があります。ですので、一言でインターネットが繋がらないと言っても、どこが悪いのか分からない為、これを防ぐためには、インターネットを導入される際「シンプル」で「調査しやすい」ようなネットラインにしないと、後から困ってしまうんですね。
パッケージやプラン
鈴木)
設置なども含んだパッケージなどはありますか?
白水)
通常はモデムルーターを設置するまでが弊社の役目です。しかし、全てのライフラインを整えるのがインターネットだと思っておりますので、日系の業者さんを紹介することもあります。コストカットされたいということであればローカル企業のご紹介も可能です。コンサル事業者さんや内装業者さんと一緒に打ち合わせする場合は100%に近いネット環境をお客様にご提案可能です。飲食店のお客さんから「ネットが使えない」なんて苦情があっても嫌ですよね、更にPOSレジやクレジットカードも接続するのはインターネットですので、会計が出来なくなったりするのはおおごとですよね。テレビ一つ取っても、楽しみにしてたサッカーの試合が見れない!なんて嫌だと思うんです。なので飲食店の方たちには、もっとネット周りに重きをおいてほしいと感じます。
鈴木)
移転される飲食店に、乗り換えプランなどはありますか?
白水)
プラン変更は可能ですが、他社への乗り換えというのはできません。お引越しも可能ですが、一部地域では地下ケーブルの引き込みの有無やオーナーとの契約関係で使えない可能性もありますので住所によりますね。ここも日本とは異なるところだと思います。
相談するタイミング
鈴木)
白水さんにご相談するとしたらどのタイミングがベストですか?
白水)
内装業者が有線LANの設置を行いますので、内装工事の打ち合わせ段階からご一緒させて頂きたいですね。そうすることで、通信業者の目から見たネットラインの構築を内装業者に提案することができるんです。
鈴木)
申込みから引き込みまでの時間はどのくらいですか?
白水)
通常は2営業日見て頂いております。特殊な案件になればなるほどお時間はいただきますが、長くても1週間くらいですね。弊社の役割は開通して終わり、ではなく中の設置をいかに整えるかも含まれておりますので、直前ではなく余裕をご相談いただきたいです。
費用
鈴木)
では白水さん、、肝心な通信費ってどの程度でしょうか。
白水)
もちろんご予算をおっしゃっていただければその金額の中でできる限りのことは致します。逆に初期費用を抑えるために値段の安さだけで決めてしまうと、先ほど言ったような落とし穴がでてくる可能性が高くなり、結果として高くつくことがあると思います。我々はあらゆるリスクを想定しサポートさせて頂きますので、費用は増します。ちなみに費用は回線速度に応じて違います。
鈴木)
え!?スピードによって料金が違うのですね?
白水)
はい、ここが日本とは違うところですね。
日本と同じ品質のものとなると月に数万円の費用が必要になりますね。。
鈴木)
それは意外でした。。。
例えば100席くらいの飲食店でWIFIを飛ばすとなるとどのくらいの費用が必要ですか?
白水)
お客様の利便性を第一に考えられるのであれば、最低ラインで5,000円~10,000円弱のプランを推奨したします。常に満席状況の飲食店さんではこれくらいないと厳しいですね。しかし、使い方によって速度プランを分けてカスタマイズして使用することなどもできるので、ご相談いただければベストなプランをご案内いたします。
鈴木)
日本のように契約期間に縛りはありますか?
白水)
2年間契約となっております。違約金がそこまで高くないで、日系企業様はそこまで気にされてない方が殆どですね。もちろん違約金の存在を知ってる、知らないでは大きな違いがありますので、書類にもしっかりと明記されてもありますし、ご契約の際しっかりと説明させていただいております。
鈴木)
契約の際に必要なものはなんですか?
白水)
法人と個人で変わってきますが、法人契約の場合は事業登記簿(ERC)代表者のパスポートコピー。個人契約の場合は、ご契約者のパスポートコピーとレジデンスカードコピー、あとは、ご登録名義がベトナム人の場合はIDコピーとなります。
最後に、飲食店さんに一言。。。
白水)
とにかく・・・私にご相談だけでもしていただきたいですね!ご予算やシチュエーションによって提案できることは沢山あると思いますし、私から各社に依頼したりすることもしますよ、相談は無料ですし、絶対に損はさせません!
あとがき
インタビューは終始、自身で作成したという日本語で書かれた資料と共に、丁寧に説明してくれた白水氏。飲食店様に来店するお客様の利便性を真剣に思うその心が、ベトナムのネット環境を支えているのだろう。
もちろん飲食店としては出店コストをできる限り抑えたいであろう。しかし、POSレジやクレジットカードなどは全て「インターネット」が必要である、あらゆる「リスク」を想定できる、『何か』があった時に対応ができる、キャリアを頼ってみてはいかがだろうか。
値段だけで比較せずに先ずは相談を!これが白水氏が本当に伝えたいことなのだ。料金のことなども包み隠さず教えていただけるので気になることがあったら白水氏に直接ご連絡を!
白水 雅直 / Shirohzu Masanao
VNPT-VinaPhone
住所:121 Pasteur, Phuong 6, Quan 3, TP.HCM
電話番号:0946 982 383 (Zalo, WhatsApp, Viber)
Email: [email protected] / [email protected]
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2020/03/09)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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