ホーチミンに住んでいる多くの日本人の心のよりどころとなっている日本人経営の店がレタントンのヘムに存在する。
Standing BAR 日本酒で乾杯
様々な美味しい日本酒を少量から飲むことができることと、オーナーの月森氏の人柄により、多くの日本人が足繁く通っている。
ベトナム国内の多くの飲食店に通い、その体験を記したブログが多くの日本人からも支持を受けている月森氏にお話を伺うことができた。
どうしてベトナムで日本酒の店を開こうと思ったのですか。
最初は、私の出身地、奈良の酒を輸出できないかと、1年を通して、ベトナムに視察に来ました。すでにベトナムには、日本酒の銘柄は多く輸入されていましたが、あまりいい状態で保管されてなく、この状態をどうにかしたい、何かできることはないかと思ったのがきっかけです。それには、自分が現地で日本酒専門の店を営業しながら、変えてゆくしかない!と決意して、翌年、ホーチミンで出店しました。
ベトナムに進出する際に1番困ったことを教えてください。
物件探しに苦労しました。
当店は、レタントンの牛めし屋の2階で営業しています。1棟借りは負担が大きかったので、他の階で空いている物件を探していて、不動産屋さんに見つけていただきました。
飲食店経営が禁止されているエリアの物件をコンサルタントに紹介されて、出店できなかったケースや、店を共同で開いて、相手に裏切られたという話も聞いたりします。
組む相手を見極めることは難しいですが、その物件に、営業ライセンスがおりるのかどうか、自分自身で確認することも大事だと思います。
実際にを開店いてからのお話を聞かせてください。
出店する1か月前、Vetterというベトナムの週刊誌に、店をオープンするということを掲載しました。
最初のうちは、日本酒専門の立飲みスタイルの角打ちバーが「ベトナム初」で珍しかったことや(4年経った今でもオンリーワンですが)、Vetterでの宣伝効果もあり、繁盛していたのですが、5か月を過ぎたあたりから、徐々に売り上げが落ちていきました。
ちょうどそのころ、ベトナム人を雇い始めたのですが、彼女たちはみな手先が器用で、仕事の覚えも良かったのですが、運営が任せられることと、日本酒を理解して、おもてなしができることとはまた別だということを、改めて感じさせられました。
当時はまだ、日本酒について教えてゆくだけの力が私にはありませんでしたので、もう一度ひとりで、銘柄を厳選し、メニューを作り直し、毎月のようにイベントを行い、立て直しを図ったところ、4か月後からは、順調に売上は右肩上がりとなりました。
ホームページで検索して、フィリピン、シンガポール、香港、マカオなど近場から、遠くはカナダから来られた方々。ベトナム人はじめ、ベトナム在住の欧米人や韓国人、最近は台湾やモンゴルなど、さまざまな国の方がお見えになるようになりました。
ベトナム人に日本酒は受け入れられそうですか。
ベトナム政府はお酒の健康被害ばかりを強調しますが、それは日本のように、食事やおつまみに合わせてお酒を楽しむという飲み方が根付いていないからだと思います。
ベトナム人にも日本酒の文化は受け入れられると思います。今はベトナムでもワインが飲まれるようになっていますので、次は日本酒が来るだろうと思っています。しかし、日本酒には様々な楽しみ方があるので、ベトナム人に日本酒の文化について理解してもらうのには時間がかかりそうです。
ベトナムの日系飲食店について感じることを教えてください。
日本では庶民的なWATAMIや大戸屋は、ベトナムでは高級店なので、面白いですね。
ベトナムで上手くいっている店の共通点は、経営者が広い視野と高い志を持っており、目先の利益だけにとらわれていないことです。
また、ゴールが大きく、1つ1つの事業が繋がっていないように見えて全て繋がっているケースもあり、たいへん勉強になります。
成功している方の話を聞いて思うことは、彼らは決断が早く、並外れた行動力ながら、決して無茶をせず、緻密な計算をしているということです。行き当たりばったりということがないのですね。
今や日本でも成功していないと、ベトナムに来ても成り立たなくなりつつあります。
それほど、ベトナムの飲食店のクオリティーは高くなっています。
そして日本からの輸出品に関しては、商品だけを売ろうとするのではなく、ノウハウも伝えると強いということです。
多くの日本人は、ノウハウを伝授すると技術まで盗まれてしまうと思いがちですが、
私は、ノウハウごと輸出することが、事業を大きくさせる近道だと思います。
また、ベトナムは、やり手の女性起業家が多いのが特徴です。
日本では男女差が小さくなりつつありますが、ベトナムに比べたらまだまだ差があると思うのです。
もっと、女性が海外に進出して、起業できるようになってほしいと思っています。
貴店の今後の展望を聞かせください。
まず、この店を出したことが1ステップで、次のステップは、日本酒専門の小売店の出店です。そして、ベトナム人で店を経営できる人を育て、彼らにどんどん新しい店を出店してもらうことが2ステップです。そして、最終ステップでは、日本酒に携わるベトナムの人をたくさん育てていきたいと考えています。ベトナムで、ベトナム人によって日本酒が広まってゆき、ベトナム人の日本酒ソムリエや酒サムライを輩出することをめざしています。
ベトナムに進出する人にメッセージをお願いします。
不安も多々あると思いますが、まずは来てみてください。
住んでみたら見えてくることもいっぱいありますし、住みながら考えても良いのではないでしょうか。
【Standing BAR 日本酒で乾杯】
アドレス:15B/16 Le Thanh Ton,f,Ben Nghe,Q1(「牛めし屋」店舗内奥の階段を上がって2F)
営業時間:月~土曜日: 18:30~23:00、日曜日:18:00~21:00
休業日:ベトナムの休日、他、時々不定期(事前告知あり)
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/11/25)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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