2019.01.30
老舗日本茶メーカー「千茶荘」ベトナム上陸!ホーチミンのカフェ激戦区でいただく創業 80 年 の本格日本茶のお味はいかに/ Foobiz VIETNAM
ライター:rinosuzuki
1939 年創業の日本茶製造メーカー、株式会社千茶荘(代表取締役・原田瑞樹氏)は、島根県松江市に本店を構える日本茶の専門店である。日本茶の文化を広めていくことに力を注いでおり、「優しく暖かな“心”の通い合い」と「文化や宗教や言葉の違いを乗り越え、国境を越えての共存共栄」を理念に、2018 年 10 月 21 日にベトナム・ホーチミンに記念すべき第 1 号店、JapaneseTea Cafe Senchasou を、そして昨年 12 月 21 日に 2 号店である Scarab SAIGON Japanese Tea Cafe& Dining をオープンさせた。日本人だけではなく、ベトナムの人々にも愛されている千茶荘の人気の秘密に迫った。
取材に応じてくれたのは、Scarab SAIGON 店長の黒木桃子氏と新店舗出店の立ち上げメンバーだという菅江寿美氏だ。取材に伺った日は偶然にも Scarab SAIGON がオープンしてからちょうど一ヵ月。「(一ヵ月経ったことに対して)びっくり。あっという間でした。」と笑顔で語ってくれた。
千茶荘のベトナム進出は、縁から始まったという。一緒に働いていたベトナム人の同僚の紹介で訪れた会社がたまたま抹茶の仕入れ先を探していたことをきっかけに、ベトナムへの抹茶の輸出がスタートした。広く出回っている中国や台湾の安価な抹茶を日本の抹茶だと思われたくない、本物の味を多くの人に知ってもらいたいという強い思いから、ワークショップや地道な営業活動を続け、自分たちの足で日本茶の魅力を事細かに説明して回った。時には、日本の自社工場や実際に茶葉を挽いている過程を見学してもらうこともあったという。カフェ出店の準備が始まったのは 3 年ほど前からだそうだが、オープンまでには気の遠くなるような長い道のりがあった。こんな店を作りたいという構想はあったものの、なかなか思うような物件が見つからない。連日、オーナーの原田氏がベトナム人スタッフと共にバイクでホーチミン中を走り、何百軒もの物件を回ったが、ようやく見つかった物件は、工事中のトラブルで施工が一年以上中断し、次に見つけた物件は、事前に何度も確認をしたにも関わらず手続きを進める段になってから飲食事業ができないことが判明した。当時のことを「日本ではあり得ないようなことが続いた。今思えば、すごく壮絶でしたね。」と振り返る。
そんな中、偶然知人に紹介されたのが後に1号店となる Phu Nhuan 区の店舗だった。中心地から車で 15 分ほどのところに位置する同区は、近年ベトナム人の若者や外国人によりアトリエやカフェなどが続々とオープンしており、自慢のベトナム産コーヒーを出す店から、アメリカンスタイルのカフェレストラン、大手チェーン店までが軒を連ねるホーチミンの隠れたカフェ激戦区だ。しかし、そんな激戦区にありながら日本茶で対抗するという気持ちはなく、あくまでも本物の日本茶を知ってもらうことが重要だったという。
日本人が少なくローカルな立地であることから、メインのターゲットは当初からベトナム人に絞っていたそうだ。バイクで移動することの多い彼らのニーズに合わせテイクアウトやデリバリーにも対応し、一杯 40,000 ドンから 60,000 ドン程度とホーチミンの他のカフェと比べても平均的な価格に抑えた。抹茶やほうじ茶はもちろん、スムージーやフルーツジュースなど様々なメニューを取り揃えており、その数は 40 種類に及ぶ。白玉やゼリーなどのトッピングも可能で、中でも玄米茶ラテにあずきをトッピングしたものが人気だ。店舗には 27.5 m2ほどのカフェスペースがあり、座席は全 18 席。窓辺に面したカウンター席はとても明るく、清潔感があった。
この日は対応してくれたベトナム人店員さんのおすすめで抹茶ラテ(M サイズ/50,000 ドン)を注文した。
一番の注目はこのミルクフォーム。きめ細かな泡は目に見えないほど細かくふんわりとしていて、口に入れた瞬間に溶けてなくなってしまうほどだ。肝心の抹茶も、ローカルカフェにあるようないわゆる抹茶風味のドリンクとは異なり、抹茶本来の苦味をしっかり感じることができる、文句なしの一杯だ。
一方、苦難を乗り越え先月オープンした 2 号店 Scarab SAIGON Japanese Tea Cafe & Dining は、「品質・味ともに最上級に良いものをベトナムの皆さんに伝える」ということをコンセプトにしている。ホーチミンのメインストリートであるグエンフエ通りから徒歩 10 分、定番観光名所のひとつベンタイン市場からは徒歩5分ほどの好立地にあり、流行に敏感なベトナムの若者だけではなく、旅行でホーチミンを訪れる観光客にとってもアクセスが良い。ほうじ茶を火で炙り香りを立たせたあぶりほうじ茶や手摘みの水出し煎茶など本場さながらの本格日本茶はもちろん、盆栽を形どったパフェや、抹茶玉ぜんざいといった甘味、唐揚げや焼き魚をメインにした定食まで幅広いメニューを取り揃えている。全てにおいて手作りにこだわり、パフェのパーツひとつとっても、市販のものは使わないという徹底ぶりだ。一番の人気メニューは、6 種類のおばんざいに日替わりのメインがついた花かごランチ。時間帯によってターゲットとなる客層を変えており、手軽に食べられる朝食の定番バインミー(ベトナム風サンドイッチ)は近くのホテルに滞在している欧米人、ほっこり優しい味が懐かしいランチメニューは日本人、フォトジェニックなカフェメニューは写真撮影とおしゃべりが大好きなベトナム人を主なメイン層にしている。夜は、欧米人と日本人がターゲットで「おばんざいとお酒で一杯やってもらいたいです。」と菅江氏。平日は 7:00 から 22:00、金曜日から日曜日は 23:00 までと夜遅くまで営業している。現在の国別顧客割合は、日本人とベトナム人が 7:2、欧米人をはじめとする外国人が1割ほどだそうだ。
1階から 4 階までのカフェスペースは全 58 席。フロアによって内装や雰囲気が異なり、様々なシーンでお茶を提案することがねらい。立ち上げスタッフの多くは女性であり、メニューや器の見せ方など、女性ならではのこだわりが至るところに散りばめられている。
菅江氏のお気に入りは、3 階にある棚。茶器や掛け軸など日本から持ち込んだものも多いという。「ベトナム人は、写真を撮影する人がとても多い。たくさん撮って SNS にあげてほしいです。」と黒木氏。花魁をイメージした色鮮やかな壁は、人気の撮影スポットそうだ。
この日頂いたのは、ベトナム人にもなじみ深いコーヒーと日本の伝統的な抹茶とを絶妙な割合でコラボさせた抹茶コーヒー(ホット/75,000 ドン)。どちらも苦味が強く、お互いを打ち消しあってしまい兼ねない組み合わせだが、コービーのコクと抹茶の風味とが混ざり合い、不思議と互いの味をより一層引き立たせている。何度でも飲みたくなる味わい深い一杯だ。今後の展望について、「ベトナムの中で一番良い日本茶を提供できる店でありたい。」と語る菅江氏。店舗の数を増やすことも重要だが、まずはブランディングを強化し、より多くのベトナム人に来店してもらえるような店づくりを目指すという。Senchasou に関してはフランチャイズを含めて多店舗展開を目標にしているとのことで、ホーチミンで千茶荘の日本茶が定番になる日も近いかもしれない。テイクアクトやデリバリーで手軽に日本茶を楽しめる Senchasou と、空間づくりにも徹底的にこだわり、日本の味を心行くまで楽しめる Scarab SAIGON。どちらも訪れるたびに新たな発見がありそうだ。
◆店舗名:Japanese Tea Cafe Senchasou
◆電話番号:088-840-6088
◆営業時間:8:00~21:00
◆住所::143A Hoa Lan Street, Ward2, Phu Nhuan District, Ho Chi Minh City
◆URL:Facebook
◆店舗名:Scarab Saigon Japanese Tea Cafe & Dining
◆電話番号:091-517-9887
◆営業時間::(月曜日から木曜日)7:00~22:00/(金曜日から日曜日)7:00~23:00
◆住所::27A Nguyen Trung Truc Street, District 1, Ho Chi Minh City
◆URL:Facebook
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2019/01/30)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。
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